苦しい状況を言い訳にする選手が誰もいなかったのが収穫
もともと契約選手が10人と少ないレバンガ北海道は、Bリーグ開幕から1カ月で緊急事態を迎えた。西川貴之、ブライアン・フィッツパトリック、牧全の3人がケガでプレーできない状況に周りからの不安も大きい。
10月22日の千葉戦、7人しかプレーできないことで、北海道が一番最初に警戒したのはファウルトラブルだった。そのために、「やっぱりディフェンスの強度が弱かったので、僕たちのディフェンスができないまま終始試合が続いてしまいました。スッキリしない負け方でした」と悔しがるのは桜井良太である。
折茂武彦も「ダニエル・ミラーのファウルトラブルは避けなければならなかった」と、外国籍選手が一人しかいない状況でのトラブルを危惧するコメントをした直後、我に返ったように「2人や3人が退場するケースはそうそうないですよね」と集まった記者に同調を求めていた。それは、この状況でも北海道らしいアグレッシブなディフェンスを序盤から見せていかなければならないと自分に言い聞かせているようだった。
7人しかいない状況ばかりがフォーカスされるが、10シーズン目を迎えた北海道の過去を振り返れば、大変なことは幾度もあった。2014-15シーズン、シーズン途中から急きょヘッドコーチ代行を任された水野宏太だったが、その時も外国籍選手は1人しかいなかった。現状に対しても、「この話題に対しては、言葉を選んで言わないといけませんが、正直言えば関係ない」と一蹴している。過去すべての歴史を知る桜井も、「本当にいろんな状況を経験してきているので、別に『やばい』という感じはないです」と淡々と話す。逆に自身のオフェンスの反省点を挙げていく。
「やっぱりシュートを躊躇する場面が何度もありました。明日は入る入らない関係なく、もちろん決めるつもりでいますが、どんどん打っていきたいです。僕と松島(良豪)のところで躊躇してしまう場面があったので、シューターの(牧)全も西川(貴之)もいないので、やっぱり打ち切るところは打ち切らないとダメだなと思いました」と桜井は言う。ポイントガードも務めるようになって大人しくなったが、本来はポイントゲッターであり、リミッターをカットして攻めまくる姿を楽しみにしたい。
戦う姿勢、日本人選手の底上げ、チームの根幹を作る正念場
選手たちにとってプレー時間が長いことは喜びであり、チャンスでもある。「もちろん体力的にきつい状況ではありますが、試合に出られることは選手にとっては幸せなことです。良い風に考えてやっていくしかないので、悲観することなく戦っていくだけです」と桜井は笑顔を見せた。
桜井は13点、野口大介は20点を挙げた千葉ジェッツとの第1戦。「日本人選手が2桁得点を取れるようになったのは、昨シーズンよりも間違いなく成長した部分。今シーズンの目標の一つとして、日本人選手の底上げを徹底的に追求していきたいと思っている中、今日は野口が期待に応えてくれた。最後まで諦めずにプライドを持ってディフェンスするところは、今後のチームの根幹になってくる」と水野ヘッドコーチは話しており、この苦しい状況でも収穫は多い。
選手でもあり、クラブの代表を務める折茂武彦は、「まだBリーグが始まったばかりという中で、すでに3人もケガ人が出ていて、中には故障箇所があっても頑張って試合に出ている選手もいます。クラブとしてはしっかりと補強を考えていかなければならないし、早く結論を出していかなければならない」と話す。折茂自身はコンディション良く戦えている一方で、チームのトラブルに頭を悩ます日々を一日も早く解消したいところだ。
試合前のウォームアップから、北海道の選手たちに笑顔が見られていた。「起きたことに対して後悔することは簡単にできるが、ケガしたメンバーも一生懸命復帰するために戦っていますし、残ってるメンバーもそこに頼ることなく戦おうという意思を見せている限りは、僕が先頭に立って戦い、そこを言い訳にするつもりもないです」と水野ヘッドコーチは話しており、前を向いて勝利を目指す姿は変わらない。
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