カール・アンソニー・タウンズ

亡き母のネックレスを着け「何の不安もストレスもなくプレーできた」

NBAオールスターウィークエンド、3ポイントシュートコンテストの勝者はティンバーウルブズのカール・アンソニー・タウンズだった。ファイナルではホークスのトレイ・ヤング、クリッパーズのルーク・ケナードとの対戦に。トレイはディープスリーも苦にしないシュート能力の持ち主で、ケナードは生粋のシューターだけに、3ポイントシュートも打てる多彩さが持ち味とは言え、センターのタウンズは不利と見られた。それでも彼はシュート精度の高さと、制限時間に決められた本数を打ちきるフットワークの良さも見せ、見事に優勝を勝ち取った。

会見場に現れたタウンズは開口一番、「みんなに聞きたいんだけど、僕が勝つと思っている人はいる?(笑)」と問いかけた。

「優勝には30点が必要だと考えていて、それを狙うと言っていたんだ。だから最後の数本を決められずに29点だったのはちょっと残念だね。僕は自分に高い目標を課していて、自分のプレーを誰よりも厳しく批判する。どのライターもブロガーも、僕のパフォーマンスを僕以上に批評できる人はいない。だから30点を取り損ねたのが悔しいんだ」

彼は何年も前から3ポイントシュートコンテストの参加をリーグに直訴していたという。それは自分の実力を世に示すためであり、彼に続く若いビッグマンへの手本を見せたかったからでもある。「バスケットに背を向けてフックシュートを打っていればいいと言われている背の高い子供たちのために、頑張れば自分のなりたいプレーヤーになれることを教えてあげたい」と彼は言う。

「僕も子供の頃、いろんな人から『どうして3ポイントシュートを打とうとするんだ? バスケットを背負えばいい』と言われてきた。でも僕と父は自分たちのやり方を続けて、世界が見たこともない偉大な選手になることを目指した。その気持ちは今も持っている。この7年間でそれを証明してきたし、まだまだ上手くなれると思う。僕はまだ自分の可能性のほんの上っ面しか出していないよ」

ビッグマンが3ポイントシュートで優勝するのは2012年のケビン・ラブ以来。彼ほどサイズのある選手の優勝となると、2006年のダーク・ノビツキーまでさかのぼる。タウンズはうれしそうに言う。「ビッグマンが3ポイントシュートコンテストを制したのは10年ぶりなんだ。10年前に勝ったのもウルブズの選手だった。最高だね」

そのウルブズは31勝28敗、西カンファレンス7位でレギュラーシーズン前半戦を終えている。2015年のNBAドラフト全体1位でタウンズが加入してから7年目、ウルブズが勝率5割を超えてプレーオフに進出したのは一度きりと勝てていないが、タウンズとディアンジェロ・ラッセル、アンソニー・エドワーズの『ビッグ3』を擁することでウルブズの雰囲気は変わりつつある。

タウンズも今シーズンは好調をキープ。一時期は新型コロナウイルスで最愛の母を亡くし、精神的な落ち込みが続いた時期もあったが、彼はそれも乗り越えている。この3ポイントシュートコンテストでは、普段は着用が禁止されているアクセサリーを身に着けることが許された。

タウンズは3ポイントシュートコンテストでも着けていた母の形見である金のネックレスを手に取り「認めてくれたリーグには感謝している」と言う。「ずっと自信を持ち、何の不安もストレスもなくプレーできた。今日は本当に素晴らしい日だ」