髙田真希

文・写真=小永吉陽子

ワールドカップに挑んだ女子日本代表で代替え不可能な選手、それがキャプテンの髙田真希だ。3ポイントシュートからインサイドプレーまでこなし、相手のインサイドを一試合通してタフに抑え、4試合で平均38.6分出場する日本の大黒柱だ。ただ、今回のチームはその大黒柱に負担がかかりすぎてしまった。インサイドが髙田だけでは世界を勝ち抜くのは厳しかったのが事実。サイズのなさをチーム力で補おうとしたが、今大会は世代交代期にもあたり、勝負の場面に出るメンバーが固定されてしまった。戦える選手層をもっと厚くすることは急務だ。

それでも、この発展途上のチームがグループラウンドで2勝をもぎ取ったことは、日本に地力がついて前進している証でもある。キャプテンの髙田に今大会を振り返ってもらうとともに、今後日本が世界で勝つために必要な課題を聞いた。悔しい経験は次につなげなければならない。

中国戦は「なかなか走れずにリズムを作れなかった」

──ベスト8決定戦で中国に敗れ、敗退が決まりました。中国戦を終えて思うことは?

ただただ「悔しい」のひと言です。出だしはディフェンスが本当に良かったですが、後半は自分たちの悪い部分であるボールと人が止まってしまいました。高さがない分、ディフェンスではもっと相手のミスを誘いたかったのですが、フィニッシュまで持って行かれてしまいました。ミスを誘ったり、リバウンドが取れれば走ることができますが、相手のフィニッシュが決まるとスローインからのスタートとなるので。そうなると、なかなか走れずにリズムを作れなかったのが敗因でした。

──中国に対してはインサイドでダブルチームをした後、ディフェンスが遅れたところで3ポイントシュートを決められるなど、相手は日本のことをよく研究していました。それに対して日本はどう戦ったのでしょうか。

中国はインサイドを上手く使いながら、外のシュートの確率がすごく良かったです。そこから強い1対1で攻めてくるので、守りにくかったです。2メートルある2人のセンターは若い選手なのですが(200cmの14番と20cmの15番はともに19歳)、その2人のインサイドを起点にしながら、外からの3ポイントシュートが当たってバランスが良かったです。そこにやられてしまいました。

──終盤はディフェンスの足が止まってしまいましたが、髙田選手はほぼ40分出続けて疲労があったのでは?

そこはあまり言たくないのですが、自分自身もミスしてしまい、相手に得点されてしまうケースがありました。そこは自分自身がもっとしっかりしなければいけなかったです。

髙田真希

「誰かがいないから負けたと言われるのだけは嫌だった」

──4試合にわたってほぼフル出場でした。体力的な負担は影響がなかったですか?

キツいなと思うことはありますけど、うまくいっている時は何も感じません。40分出ているからキツいのではなく、うまくいっていない時に苦しくなります。でも40分出ることに関してはデンソーでもやっているので何とも思いません。練習のほうがキツいです。中国戦の最後にディフェンスで守り切れなかったのは自分の実力です。もっと自分が引っ張っていければ、苦しい場面を乗り越えることができたと思います。

──戦いを終えて宮澤夕貴選手が「インサイドの得点が髙田選手だけなのは厳しかった。でも今回はこのメンバーでもやれることを証明したかった」と言っていました。髙田選手自身は自分の控えがいなかったことについて、どう受け止めて戦っていたのでしょうか。

これは何回も選手たちに言ってきたんですけど、「このポジションに誰かがいないから負けた」、「誰かがいたら勝てた」というのは関係ありません。誰かがいないから負けたと言われるのだけは嫌だったので、この12人でやれることを見せようと言ってきました。

ここに残ったメンバーは半年間の合宿を乗り越えた気持ちの強いメンバーです。センターのポジションが私一人でも、自分がしっかり責任を持って戦おうとやってきました。

髙田真希

「相手どうこうより、自分たちが勝てば目標に近づけた」

──オフェンスに関しては、サイズがないということで全員が3ポイントシュートを打てるチームにしてきましたが、その完成度や手応えは?

個人的には手応えがあったし、チームとしても面白いバスケはやれたと思います。このチームが始まった時は、とにかく自分はインサイドを抑えないといけないので、リバウンドやディフェンスを重視しなければと臨みましたが、オフェンスをやってみたら自分にうまくフィットしたので、オフェンスにも力を入れることができました。しっかりチャンスに決め切れたので、オフェンスでいいリズムを作りながら、ディフェンスでもリズムに乗れたというのがあります。

ただ、どのチームも日本の3ポイントシュートに対する守り方をアジャストしていて、ガード陣やフォワード陣にプレッシャーをすごくかけてきて、なかなか自分たちのリズムでシュートが打てませんでした。日本に対してはどのチームもタイトなディフェンスをしてきている印象がありました。

──ベルギーに延長で勝ってグループ2位が濃厚になった中で、スペインがベルギーに敗れて2勝1敗が3チーム並び、得失点差でグループ3位になってしまいました。ベスト8決定戦ではD組3位のセネガルをターゲットとしていただけに、D組2位の中国と戦うやりにくい組み合わせになったことでプランが狂ったのでは?

確かに3位になったことでやりにくさはありましたが、相手がどうのこうのより、自分たちが勝ち切れなかったのがいけません。メダルを獲るために最初のスペイン戦から勝つことを目指していたし、ベルギーにも点差をつけることができたわけですし。リオ五輪でもオーストラリアに勝っていれば予選ラウンドの順位が違ったのに、自分たちで接戦を落としてしまいました(86-92で逆転負け)。相手どうこうより、自分たちが勝てば目標に近づけたと思います。今回は2勝できて上にいけるチャンスがあっただけに、すごく悔しいです。

キャプテン髙田真希の大会総括(後編)「この悔しい経験は次へ生かしてこそ」