エバン・モーブリー

ルーキーイヤーの躍進に「素晴らしい挑戦ができている」

エバン・モーブリーはNBAオールスターのライジングスターズで最も注目を集めた選手だ。昨年のNBAドラフトで1巡目3位指名を受けたルーキーは、レブロン・ジェームズが去った後に長く続いた低迷期から東カンファレンスの上位へとキャバリアーズを引き上げる原動力となっている。オールスターがクリーブランド開催であることが重なり、彼の人気は他を圧倒していた。

モーブリーはジャレット・アレンとコンビを組むことで、長らく貧弱だったのディフェンスを大きく強化した。若くてアスリート能力が高いものの、プレースタイルは古典的なセンターであるアレンに比べ、モーブリーはスキルもバスケIQもルーキーらしからぬ、そしてビッグマンらしからぬレベルにある。激しいコンタクトプレーの中でも精度の落ちないハンドリング、リバウンドを取ってからスムーズに攻めに転じるプレー選択の良さ、3ポイントラインまで守れてゾーンディフェンスのトップまでこなす機動力。

ヘッドコーチのJ.B.ビッカースタッフは、彼の戦術理解を広げるために、あえてルーキーには難しい課題を与え続けていると言う。3-2ゾーンのトップは、「フリップ・サンダースがウルブズでやっていたゾーンなんだ。KG(ケビン・ガーネット)のプレーをエバンにやらせている。アグレッシブなディフェンスの起点としてハンドラーにプレッシャーをかけ、同時に背後の状況を意識しなければならない」とビッカースタッフが説明するもの。ガーネットはサイズと機動力があり、さらに様々な戦術に対応する賢い選手だった。

トレーニングキャンプでは、ビッカースタッフはモーブリーに余計なプレッシャーを与えないようにしていたが、開幕すると考えを変えた。試合をこなすごとにモーブリーの役割は重くなっている。

「彼は私の期待に応えようと一生懸命だ。そしてしばしば、私の期待を大きく超えてくる」とビッカースタッフは言う。「才能あるルーキーは数多く見てきた。しかし、試合の状況に応じてチームが自分に求めるプレーを理解し、それを実行できる1年目の選手はほとんどいない。リムを守るだけなら誰でもできるか、ピック&ロールでガードに付いたり、スイッチでペリメータープレーヤーを守るようなプレーをできるようになるには、普通は経験を積む必要がある。分かりやすく言えば、スタッツを残すルーキーはたくさんいるが、チームの勝利に直接的に貢献できるルーキーはほとんどいない。だが、エバンは間違いなくその一人だ」

そのモーブリーにとって、ライジングスターはいつものプレッシャーとは無縁で、ただプレーを楽しむ場となった。ドラフト1位のケイド・カニングハムとのプレーが実現。モーブリーとアイザック・オコロ、キャブズの2選手を擁する『チーム・バリー』は地元ファンの声援に応え、見事に優勝を果たした。

「今日はプレーを楽しむつもりで来た。本当に楽しい経験になったよ」とモーブリーは言う。「試合の真剣度も高かったし、ファンも喜んでくれたと思う。オールスターに参加できてすごく興奮しているし、オールスターの本戦にはチームメートが出場するから、それを見るのも楽しみだよ」

そして、シーズン後半戦もキャブズとモーブリーにとっては刺激的なものとなりそうだ。モーブリーは言う。「僕らはプレーオフ進出を目指しているし、レブロン以来の数シーズンでできなかったことを成し遂げたい。素晴らしい挑戦ができていると思うよ。すべての準備をして、勝ち続けられるよう努力する」