タイリース・ハリバートン

ペイサーズでのデビュー戦、キャブズに敗れるも23得点6アシストを記録

トレードデッドライン当日に突然の移籍が起こり得ることは『NBAのビジネス』としてどの選手も理解している。しかし、その可能性には濃淡があり、タイリース・ハリバートンは自分がトレードされるとは微塵も考えていなかった。キングスは今シーズンも勝てず、主力の数人を放出しての再構築が基本路線ではあったが、それでもハリバートンは自分がキングス再建の中心であり続けると信じていた。

「全く予想していなかった。それらしい兆候は何一つ感じなかった。いつもの練習に行く準備をして朝食を食べていた時に『トレードされるかもしれない』と電話があった。その30分後にはトレードが決まったと知らされたよ」

ペイサーズの練習場に到着して会見に応じたハリバートンは、自分の身に降り掛かった出来事を「怖いよね」と表現する。NBAデビュー以来、クールかつ物怖じしない態度で活躍してきた彼も、今回のトレードには動揺を隠せなかった。

「僕はキングスを愛していたし、信頼していた。地域社会や人々との関係もすごく良かった。サクラメントを気に入っていたし、あそこのみんなを愛していた。僕の可能性を信じてチャンスをくれたんだから当然だよ。でも、これもNBAのビジネスだ。そして僕の最大の特徴は、すべてを自分の成長に利用することだ。これまで思うような評価を得られないこととか、ショックなことは何度もあった。そのたびに『次はこんな思いをしないように』と頑張ってきた」

そのハリバートンは現地2月11日のキャバリアーズ戦で、一緒に移籍したバディ・ヒールドとトリスタン・トンプソンとともにペイサーズでのデビューを飾った。第1クォーターにフランチャイズ記録の47得点を奪う最高のスタートを切ったが、東カンファレンスで上位争いを演じるキャブズは最大21点のビハインドを背負いながらも集中を切らすことなく、試合が進むにつれてインサイドの強みを生かして巻き返す。第4クォーターを17-32とされて113-120の逆転負け。

ドマンタス・サボニスのポストアップが一番のオプションだったペイサーズが、ハリバートンとヒールドが作り出す速いペースに合わせるまでには少々時間が必要だろう。ただ、試合を重ねれば相互理解は進むはず。キャブズ相手に敗れはしたが、ほとんどの時間帯でリードする試合ができ、可能性を十分に感じさせる新体制の初戦となった。

ハリバートンは4本の3ポイントシュート成功を含む23得点6アシストを記録。彼自身も、キングスに裏切られたショックをエネルギーに変えて、ペイサーズで新たな成長を見せてくれるはずだ。