山本を称賛「何が嫌かを考えながらフィジカルにプレーしてくれた」

2月10日、女子ワールドカップ予選が開幕。日本はカナダと対戦し、延長戦の末に86-79で勝利した。

FIBAランキング8位の日本に対し、カナダは4位。さらにFIBA公式戦での戦績も3勝6敗と大きく負け越している相手とあって、日本は序盤から苦戦を強いられ、前半終了時には17点ものビハインドを背負った。指揮官の恩塚亨は「良い準備をしてきたのですが、ゲームの経験がこのチームでほとんどなかったです。フィジカルな状況で、今までとは違うシチュエーションに選手が困っていると思いました」と前半の戦いぶりを振り返った。

それでも、日本はディフェンスのインテンシティを高めて後半から反撃を開始。タフなディフェンスがボディブローのように効き、身体を寄せても決められていたカナダのインサイドアタックの精度は時間が進むごとに落ちていった。中でも山本麻衣のディフェンスは効果的で、恩塚ヘッドコーチも手放しで称賛した。「素晴らしかったです。フィジカルにプレーしていましたし、フィジカルにただ頑張るだけじゃなく、何が嫌かを考えながらフィジカルにプレーしてくれました。彼女がそこで戦ってくれた背中を他の4人も見て、ディフェンスの熱量を上げて行ってくれたんじゃないかと感謝しています」

山本は12得点を挙げるなど、オフェンスでの貢献も高かった。また、チームハイの18得点を挙げ、オフェンスの主役を演じた馬瓜ステファニーの活躍も見逃せなかった。2人は『3×3』で世界を制した経験を持ち、若いながらも堂々と勝敗を分ける終盤の時間帯までプレーした。恩塚ヘッドコーチは言う。「こういう選手になりたいんだという気持ちに引っ張られてプレーしているところが素晴らしかった。非常にエネルギーもあるし、クリエイティブだった。そういう選手がゲームを支配していると思うし、誇らしく思います」

日本の前半の得点は23と伸び悩んだ。それでも恩塚ヘッドコーチが「オフェンスはスクリーンが機能していなかったので、そこをポイントに掲げてプレーした。選手たちが言われたことをやるのではなく、うまく使いこなしてプレーしてくれたのが良かった」と語ったように、後半だけで50得点を奪って延長戦に持ち込んだ。そして、勢いに乗った日本はオーバータイムを圧倒し、劇的な逆転勝利を飾った。「タフなゲームでしたが選手たちが常にポジティブにゲームと向き合い、お互いに力を高め合って、最後まで高いエネルギーでプレーできたことを心から誇りに思います。そういうチームでコーチできてうれしいですし、そういう仲間と勝利を分かち合えたのはさらに最高の喜びです」と恩塚ヘッドコーチは笑顔を見せた。

ベラルーシの欠場が決まり、日本は2月13日にボスニア・ヘルツェゴビナと対戦する。恩塚ヘッドコーチは「WNBAのMVP（ジョンクェル・ジョーンズ）がいて、彼女を中心にして素晴らしいケミストリーを持ったチームでリスペクトしている」と語ったが、「ウチには渡嘉敷（来夢）選手がいるし、チーム一丸となって戦えるチーム力がある。チームの力を最大限発揮して、私たちのバスケットをやり抜く中で40分間で勝利をつかみ取りたい」と意気込んだ。