カイル・クーズマ

「人間だから、どうやったって影響を受けてしまう」

ウィザーズは24勝29敗とプレーイン・トーナメント進出ラインから脱落しつつあり、直近の2試合では東西カンファレンスのトップチームであるサンズとヒートに実力差を見せ付けられる完敗を喫した。ブラッドリー・ビールが手首の手術に踏み切り、今シーズン全休となることも決まった。目標を失いつつある中でトレードデッドラインを迎えようとしており、どの選手もトレードの対象になり得る状況でチーム内には動揺が広がっている。

その中で平静を保っているのがカイル・クーズマだ。彼は物事が上手くいかず、チームの計画が破綻しかかっている時にパニックに陥っても何一つポジティブなことは起きないと知っている。今シーズン開幕前、ラッセル・ウェストブルックのトレードの一部としてウィザーズに来るまでの彼は、レイカーズの4年間で酸いも甘いも経験してきた。名門チームであるレイカーズに身を置くプレッシャーに慣れているからこそ、動揺するチームメートたちの心情に寄り添うことができる。

クーズマは言う。「僕は毎年トレードの対象だと言われてきた。そんな噂を耳にすれば、自分が必要とされていないように感じる。世界中から敵意を向けられているような気もする。周囲への不信感を持ったまま良いプレーをするのは無理だ。人間だから、どうやったって影響を受けてしまう」

ヘッドコーチのウェス・アンセルドJr.は「NBAのビジネスは選手たちも理解している。もちろん、気分の良いものではない。だが、この時期には誰もが向き合わなければならない問題なんだ。あくまで次の試合に注意を払ってほしい」と語る。

それとともに、ビール離脱後もプレーオフ進出をあきらめていないと指揮官は言う。「彼の状態とは関係のないことだと私は思っている。今シーズンここまで、ビール抜きで良い試合ができたことは何度もあった。決して理想的な状況ではないが、それを現実として受け入れて、なおできることをやりたい」

クーズマはこの難しい状況でのメンタルの持ち方をこう語る。「僕らにはやるべきことがあって、それはこの時期も変わらない。トレード期限に何人かはいなくなる可能性があるし、そうでない選手もいる。もしかしたら何も起きないかもしれない。そう考えれば、いろんな考えを頭の中で巡らせても、無駄なことにエネルギーを割くだけだと分かるよね」

「もちろん、人間だから簡単じゃない。次の契約のこと、自分の生活のことを考えなきゃいけないのも確かで、目の前の試合に集中するのが難しいこともある。でも、どんな出来事があっても僕らはプロフェッショナルであり続けなきゃいけない」