熊谷航

「今持っている自分の力をアピールしたい」

バスケットボール男子日本代表は若手中心のメンバーで強化合宿をスタートさせた。ワールドカップ予選のWindow1に出場した選手が3人しか名前を連ねておらず、指揮官のトム・ホーバスが「このメンバーが経験を積めばA代表のチャンスもあります」と語ったように、今回のメンバーは言わばB代表のチャレンジャーだ。

それでも、日の丸を背負うことができるのは限られた選手のみで、当然ながら名誉なことだ。熊谷航も「素直にうれしいです。初めての選出で少し緊張してますが、今持っている自分の力をアピールしたい」と意気込んだ。

熊谷はゲームコントロールに優れる安定感のあるポイントガードで、スピードに乗ったドライブにも定評がある。熊谷も自身の強みを理解しているが、信州ブレイブウォリアーズで鍛え上げられたディフェンスを第一に見てほしいと語った。「まずは前から当たるハードなディフェンスです。スピードが持ち味なので、ドライブやピック&ロールなどを出していきたいと思っています」

熊谷を含め、所属する信州から4人が候補選手に選ばれたが「同じチームでやり合っているのでうれしいですが、ライバルでもあるので、そこは切磋琢磨していきたい」と、慣れ合うつもりは毛頭ない。

新生日本代表はWindow1で中国を相手に大敗を喫したものの、3ポイントシュートを多投する新たなスタイルの挑戦を始めた。熊谷は「日本は速い展開を目指していて、3ポイントシュートを数多く打っている印象」と語りつつ、「中国代表の方が全体的に大きくて、スイッチされた後のディフェンスの処理」に手こずっていた印象を受けたという。ピック&ロールからミスマッチを作り出すことは基本的な戦術だが、そのミスマッチを生かすことができずに、苦し紛れの3ポイントシュートを多投したことが大きな敗因となった。

熊谷がペイントタッチを連発し、3ポイントシュートを打つ機会を何度も作ることができれば、ホーバスコーチが言うようにA代表に加わる可能性もあるはずだ。「まだそこのレベルには達していない」と、控えめに言う熊谷だが、「こっちでしっかりアピールして、段階を踏んでワールドカップにも選ばれたらうれしい」と、虎視眈々と代表の座を狙っている。