「若い選手たちの成長を助け、一緒にケミストリーを築いていきたい」
ニックスは昨シーズンにプレーオフ進出を果たしたが、『右肩上がり』とはいかなかった。今シーズンは開幕から5勝1敗と好スタートを切ったものの、すぐに失速。チームの精神的支柱となったジュリアス・ランドルはプレーオフで突如不振に陥り、いまだに昨シーズンのレギュラーシーズンで安定して活躍していたレベルに戻れずにいる。
地元ニューヨークでのプレーに士気高かった新戦力のケンバ・ウォーカーも膝の痛みを抱えながらのプレーを強いられ、指揮官トム・シボドーは彼を戦力外とする決断を下した。それでもケガ人続出の状況を受けてケンバを戻さざるを得ない状況に。ケンバはプロとして自分にできるすべてをこなしているが、チームを浮上させるには至っていない。現在はキャバリアーズ、ヒート、バックスと強豪相手に3連敗中。23勝27敗と勝率5割ラインから転落し、プレーオフ進出が危ぶまれている。
そんなニックスにとって巻き返しのきっかけになると期待されるのがデリック・ローズの復帰だ。開幕から26試合に出場して12.0得点、4.0アシストを記録していた彼は、12月中旬に足首の手術で離脱。最後に出場したロケッツ戦で足首をひねったと発表されていたが、実際は骨棘(軟骨が固くなり骨化したもの)が靭帯に入り、痛みの原因となっていた。
1月30日に取材に応じたローズは「試合の後もテーピングをするぐらいの痛みがあったから、手術を選択して良かった。ようやく安心することができた」と語る。何度も大ケガを乗り越えてきたベテランが復帰を焦ることはないが、苦しい状況にあるチームに貢献したい気持ちは強い。
少し前からチームに帯同しているが、もともと言葉ではなくプレーで引っ張るタイプであり、「コートに立ちもしないのに、多くを語るような男にはなりたくない」と彼自身も言う。「言うべきことは言うけど、試合に出ている選手たちに頭ごなしに指示を出すようなことはしたくない。僕は若い選手たちの成長を助け、一緒にケミストリーを築いていきたい。そのためにはプレーしてコミュニケーションを取ることが必要なんだ」
オールスター明けに戦線復帰予定のローズは、ニックス浮上の可能性はまだまだあると信じている。「危機感を持ってプレーすること、コートにいる選手たちが試合展開を把握し、適切なタイミングで適切なプレーをすることが大事だ。試合後に調整するんじゃなく、試合の中でアジャストしなければならない。それができるようになるまで、まずは結束を固めることだね」
「東カンファレンスは大混戦で、何チームも同じような成績で固まっている。すぐにでも状況を変えられる可能性はある」
トレードデッドラインまでに何らかの補強があるだろう。それでも、プレーでチームに行くべき道を示すことのできるローズが復帰すれば、ニックスにとっては単なる戦力アップに留まらない、メンタルの強さを取り戻すことになる。