近藤楓

「今は自分へのチャレンジにフォーカスしている」

近藤楓にとっては久々の代表活動だ。2016年のリオ五輪メンバー12人に入り、3ポイントシュートとディフェンスでチームに貢献する『3&D』として存在感を見せたが、国際大会の出場は翌年のアジアカップまで。2018年にはワールドカップのメンバーから漏れてアジア競技大会に回り、その後の東京オリンピック出場を目指す選考レースには加わっていない。それでも今回、恩塚亨ヘッドコーチ新体制で近藤は代表合宿に招集された。

「オフェンスの面では3ポイントシュートにこだわらず、積極的にドライブアタックをするよう言われていて、他のプレーも自信を持ってやれている、積極的にリングへアタックできていることで自分らしいプレーができている」と自身が語る、Wリーグでの好調なパフォーマンスが代表復帰を実現させた。

それでも、30歳になった近藤には良い意味でギラギラした部分がない。今回の代表合宿は、ワールドカップ予選の登録12枠を19人で争うサバイバルレースだが、「新しいスキルを学んだりとか普段は敵チームの選手たちとコミュニケーションを取りながらバスケットをやることがすごく純粋に楽しくて、若い選手たちから良い刺激を受けています」と彼女は言う。

「代表活動から離れてからはリーグ戦の結果もあまり良くなかったので、あまり代表への意識はありませんでした。正直、今回候補メンバーに選んでいただいた時に自分でも驚いた部分があって、でも久しぶりに代表合宿に呼んでもらえたことはうれしく思います。長年バスケをやっていても環境が変わったところで新しい学びもたくさんあるので、すごく前向きな気持ちで合宿に臨めています」

「今は自分へのチャレンジと言うか、自分がどこまでできるかにフォーカスしているので、あまり人と比べてる感覚はないです」とは言うものの、その姿勢のおかげでポジティブな挑戦ができている。

「他の選手と比べてのところだとディフェンスが重要になると思うので、しっかりハードに当たることで差を付けることができればいいと思います。あとは3ポイントシュートが打てなかった時にドライブアタックは今シーズン自分でも意識してやってきたので、そういう部分も出していきたい」

自国開催のオリンピック、さらに銀メダル獲得と世界を相手に堂々の結果を残したことで、女子バスケ日本代表は大きな注目を集めた。近藤はその喧騒から離れたところに身を置きながらも、しっかりと研鑽を積んで今回の代表復帰を実現させた。世代交代が活発なチームにおいて『リオ組』の人数は年々減り、若手の成長が目立つ。それでも3ポイントシュートという『一芸』からプレーの幅を広げ、メンタルの面でも非常に良いアプローチができている、そんな近藤のベテランらしい成長は非常に頼もしい。