ベン・シモンズ

シクサーズは『今すぐ勝てるチーム』を編成、究極の狙いはハーデン獲得

ベン・シモンズとセブンティシクサーズの関係破綻が明らかになったのは今シーズン開幕前のこと。それから現在に至るまで、シモンズは高額の罰金を支払いながら欠場し続け、シクサーズはそれでもジョエル・エンビードを中心に28勝19敗と、東カンファレンス首位だった昨シーズンほどではないにせよ、シモンズ抜きでも善戦を続けている。

そんなシモンズの状況も、2月10日のトレードデッドラインを前に動くことになりそうだ。『The Athletic』はシクサーズとキングスがシモンズのトレードについて協議していると報じ、シクサーズのダリル・モーリーGMは「詳細については語れないが、キングスとの交渉は事実だ。キングスだけでなく複数のチームを絡めたトレードになるだろう」と認めた。

キングスはディアロン・フォックスとタイリース・ハリバートンを軸としたチーム作りを今後も続ける意向だが、そのどちらかはシモンズとのトレードで手放す必要がありそうだ。ここまで31勝41敗とプレーオフ圏外に沈んでおり、シーズンに入ってからヘッドコーチ交代に踏み切ったものの、思うような効果は出ていない。このまま行けば16シーズン連続でプレーオフ進出を逃すことになる。チーム刷新が必要なのは明らかで、『問題児』のベン・シモンズを迎え入れる荒療治に踏み切ってもおかしくはない。

『The Athletic』はハリバートンと1巡目指名権でシモンズとのトレードを、『The Philadelphia Inquirer』はシモンズだけでなくトバイアス・ハリスにマティース・サイブルを加え、ハリバートンとバディ・ヒールド、ハリソン・バーンズと1巡目指名権2つのトレードを予想している。

キングスは再建中のチームで、長期的見地に立ってベストの選択肢を探ればいい。一方でシクサーズは『ベン・シモンズ問題』さえ解決すれば優勝を狙えるチームであり、MVP級のパフォーマンスを見せるエンビードを中心に『今すぐ勝てるチーム』を編成する必要がある。シモンズはただプレーを拒否しているだけでなく、高給取りでサラリーキャップを圧迫する存在でもある。彼をトレードで手放すことができれば、次なる補強への動きも取りやすくなり、『今すぐ勝てるチーム』を編成することでフリーエージェントの勧誘も楽になる。

モーリーの本命は今シーズン終了後にフリーエージェントとなる可能性があるジェームズ・ハーデンだろう。チームの看板選手が試合出場を拒否する危機的状況から、エンビードを軸に全く新しい、かつ超強力なチームを作り出せるかどうか。ここまでの『待ちの一手』だったモーリーはどんな手腕を振るうのだろうか。