レバンガ北海道は現在11勝15敗と黒星が先行している。それでも、強豪チームからも勝ち星を重ねるなど、東地区最下位に終わった昨シーズンとは違った輝きを見せている。その原動力となっているのが橋本竜馬だ。13年目のベテランながら平均得点はキャリアハイを記録し、攻守に奮闘している。そんな橋本は新型コロナウイルス感染を乗り越え、さらなる上昇を期す。
隔離期間は「楽しい経験ではなかったですが、有意義な時間になった」
──新型コロナウイルスの感染を実名で発表された時は驚きました。あらためて、陽性と判明した時はどんな心境でしたか?
沖縄から帰ってきてPCR検査をやって、それで陽性が出ているという電話がかかってきて、「マジですか? 僕ですか?」って何回も聞きました。試合での対策もしっかりしていましたし、ホテルと試合会場の行き来だけだったので、ほんとに身近にあるんだなって。これまでも他人事だったわけではないですが、そんな感覚で自分もなるんだなというふうに思いました。
──症状はなかったということですが、隔離期間を含めてどのように過ごしていたのですか?
症状は人によるそうですね。カウンセリングみたいなのを受ける時間があるんですけど、今は症状がなくても悪くなる方もいるのでしっかり経過を観察していってくださいと言われました。隔離期間は10日間で外に出る時間は食事が配られる時に下に降りる時くらいで、缶詰めという言い方をしたらアレなんですけど、本当に部屋の中で静養していました。
──アスリートは身体が資本ですが、身体を動かすことはできたのですか?
自分の体調を見ながらですが、幸いにも僕は軽症というかそこまでひどい方ではなかったので、ソファーをどかしてオンライントレーニングをしていました。おもり(ケトルベル)やストレッチバンドを自分で持ち込んで、身体を動かすという意味合いのオンライントレーニングはしていました。。
──シーズン中に10日間も休んだことはありますか?
丸々休むというのはなかったですね。でもシーズンが約半分くらい終わったタイミングで、こんなにゆっくり課題について考えられる時間をシーズン中にもらえるというのはなかったので。アシスタントコーチとズームでチームの課題や傾向だったり、自分のことも教えてもらいました。Bリーグの中でもたくさん良い選手がいるので、同じポジションの選手を追っかけてみたり、ユーロリーグの選手も見て、再開した練習で早速少し試してみたり。純粋に楽しい経験ではなかったですが、そういう時間ができたので有意義な時間になったかなと思います。
「どことでも戦えるし、どこにでも勝てるチームになっている」
──現在チームは黒星が先行していますが、川崎ブレイブサンダースや千葉ジェッツ、宇都宮ブレックスなどの強豪チームも撃破しています。ディフェンスが機能した時の強さは証明済みですが、実際にチームの手応えはどうですか?
おっしゃる通りで、ディフェンスがある程度安定した結果が数字にも出ていて、自分たちの中でも上手くいってるなという感覚がある試合は勝てるチャンスがすごくあると感じています。それを安定して出せればどことでも戦えるし、どこにでも勝てるチームになっていると思います。
でも、まだ黒星が先行しているじゃないですか。それをやれば勝てるんだっていう感覚がある試合と、そこが崩れてしまう試合がはっきりしている時がありますね。それを毎回やらなければいけないんだ、やらないと自分たちは戦えないんだという、そういった形に持っていけるとまた違った形になっていきますし、さらにそれが積み重ねになっていくと思います。
──どことでも戦えるという意味では、10点差以内の試合が多く見られますが、接戦を勝ち切れているのか、それとも取りこぼしているイメージなのかどっちでしょう?
もったいない試合もあったし、僕は勝ち切れる試合がもっとあったと思います。それを勝ち切っていればもっと違う位置にいたんじゃないかと思いますが、それが上にいるチームと僕たちの差だと思うんですよ。強豪と言われるチームは常に調子が良いのかと考えたらそれは違うと思うし、悪い時なりの自分たちの勝ち方を知っている。そこが大きな差だと思うので、それを埋めるためにはやっぱり粘り強さが必要だと思います。
──ここまで2度の20得点超えがあるように、平均7.9得点とキャリアハイの数字を残しています。それは自分で意識的に得点を狙って行っているのか、それとも役割として求められているのですか?
両方ですね。意識的に得点に絡みに行っているし、そのチャンスをうかがっていることは間違いないです。それは佐古(賢一)ヘッドコーチが来られた時に「竜馬が今までトライしてこなかった部分というか、できるんだけど勝つために引き出しを開かなかった部分を今のチームでは出して勝たせるようなポイントガードになってほしい」と言われたんです。場面場面でいろんなことを使いこなせる選手になるからというのを言われて今シーズンに入り、それで20得点挙げる時もあれば4、5点で勝ったりする時もあります。
「違った形でゲームが見えてきています」
──これまではなせその引き出しを開かなかったんですか?
それが勝つために一番良い方法でもあったので。たくさんトライしたいと思った時はあったんですけど、今までのチームメートには日本人選手でも平均20得点取れる選手がいたり、素晴らしい選手とやらせてもらったので、彼らがどうやったら気持ちよくバスケットボールができるのか、そのために自分がどうしたらいいのかということにフォーカスしていたので。開かなかったというよりは、勝つためにどうしたら良いのかを考えた時にベストのチョイスがそっちだったんです。今のチームはいろいろなことに全員がトライしないと勝てないチームだと佐古さんに言われて、その一歩として竜馬もチャレンジしてほしいしできると思うと言われ、今トライしている最中です。
──ベテランになるにつれて数字は落ちていくように思いますが、ここにきて第二の成長を感じることはありますか?
ありますよ、今まで見えてこなかった部分が見えてきたりというか。こういうタイミングでシュートチャンスがあるんだとか、ここでシュートを打つことによって次はここが空くんだとか発見があります。どちらかというと今までは自分がスペースを取ったりタイミングを見計らっていたので、違った形でゲームが見えてきています。その中で流れをどう作ればいいのかとか、バスケットボールをゲームとして考えて楽しめています。
身体が動かなくても、考えて自分にあるスキルを駆使したらこんなこともできるんだとか、こういう試合になるんだとか。成功もあれば失敗もたくさんあってそれが糧になっている部分もありますけど、めちゃめちゃ楽しいです。
──最後にファンの方へメッセージをお願いします。
コロナウイルスに感染してしまい、本当に皆さんには心配をおかけしました。今は元気にバスケットボールをやらせてもらっていて、チームのみんなと一緒に楽しんでやれていることが一番うれしいです。皆さんにその元気な姿をコートで届けられたらと思っているので、まずは今週の名古屋戦の後押しをお願いします。
名古屋さんは穴もなく、タレントに合ったバスケットになっているので脅威ではあります。でも、そこに対して自分たちがディフェンスでどれだけやれるのかというのは良いチャレンジになると思うし、それを遂行して自分たちのゲームができれば次のステップに進めると思っています。全緑応援をお願いします!
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