初の準決勝進出、メダル獲得まであと1勝
東京パラリンピック、車いすバスケ男子日本代表が準々決勝でオーストラリアと対戦した。
日本の先発は鳥海連志、赤石竜我、藤本怜央、秋田啓、岩井孝義という高さを重視した5人を並べた。
互いに高確率でミドルシュートを沈め、連携からゴール下のシュートを決め合い、開始6分で10-10と互角の展開が続いた。鳥海のスティールからのワンマン速攻、秋田もディープ2ポイントシュートで2ポゼッションのリードを得たが、すぐさま返されて14-14で第1クォーターを終えた。
第2クォーターに入り、日本は香西宏昭と藤澤潔を投入。そして、このスピードを重視したラインナップが功を奏した。香西がチーム最初の3ポイントシュートを沈めて流れを引き寄せると、連続で速攻を成功させる。さらに徹底したシュートチェックでタフショットを打たせ、そこから走るトランジションが機能し、28-20とリードを広げた。
スピードを重視した分、オフェンスリバウンドを奪われ、ゴール下のシュートを決められてしまい1ポゼッション差に迫られる場面もあったが、途中出場の古澤拓也が最初のミドルシュートを沈め、香西が2本目の3ポイントシュートを沈めて35-30とリードして前半を折り返した。
後半、オーストラリアは先発メンバーを並べたオーストラリアに対し、日本はキャプテンの豊島英、宮島徹也を起用した。ハリーバックで数的有利を作らせず、粘り強いディフェンスでイージーシュートを許さないが、ボールマンにプレッシャーをかけられオフェンスでの軽率なミスが目立ち得点が伸び悩む。ここまで1本も許さなかった3ポイントシュートを決められてしまうが、鳥海が連続で得点を決め、ファウルを受けながらレイアップを沈めるバスケット・カウントも飛び出す。さらに藤本がミスマッチを効果的に突き、藤本と交代で入った香西のミドルシュートで締めた日本がリードを8点に広げて最終クォーターを迎えた。
秋田のタフショットでリードを2桁に乗せた日本だったが、前線から当たるディフェンスを突破されてしまい、連続で速攻から失点すると、シューター勢に高確率でシュートを決められ、残り6分40秒で2点差に迫られた。
日本はここでタイムアウトを取り、藤本をコートに戻して勝負をかける。そして、藤本はこのプレッシャーのかかる場面で連続でシュートを沈めるエースの仕事を見せた。その後、最大のピンチを脱した日本はパスコースを完全に読み切った鳥海がスティールからワンマン速攻を決めて、残り1分28秒で59-53とリードする。さらに、残り25秒に、香西が勝負を決定付けるミドルシュートを沈めた。
何度も1ポゼッション差に迫られた日本だったが、タイムシェアをしたことで大事な場面でパフォーマンスが落ちなかった。同点にされることなく逃げ切り、最終スコア61-55で勝利した。
ベスト4に進出した日本は休養日を挟み、カナダを66-52で下したイギリスと準決勝を戦う。メダル獲得まであと1勝に迫った。