ケイド・カニングハム

将来性のある若手が揃うピストンズを飛躍させるきっかけを作れるか

直近の13シーズンのうち10シーズンでプレーオフ進出を逃し、残る3シーズンもファーストラウンドで敗退。長い長い低迷期にあるピストンズだが、ケイド・カニングハムはその流れを変える存在になるかもしれない。

現地7月29日のNBAドラフト2021で、ピストンズは大方の予想通りカニングハムを指名した。全身を黒のスーツで決めたカニングハムは「この瞬間を迎えたことが今も信じられない。この感情は言葉では説明できないよ。みんな喜んでくれている。家族がみんなここにいて、この瞬間を迎えられたのが本当に幸せだ」と語る。

ロケッツはジェイレン・グリーン、キャバリアーズはエバン・モブリー、ラプターズはスコッティ・バーンズ、マジックはジェイレン・サッジスと、上位指名は波乱なく進んでいる。

豊作と言われる今年のドラフトでも、カニングハムは突出したタレントだと見られている。ボールハンドラーであると同時にオフボールでチャンスを作り出すことができ、ディフェンスも苦にしないサイズとフットワークの持ち主。ドラフト前の会見で、「どのポジションでも効果的なプレーをする自信はある。誰かのためにプレースタイルを変えるつもりはないけど、チームが勝つためなら必ずアジャストしてみせる」と来るべきNBAでの戦いに自信を語っている。

ピストンズはこれまで何度もチームを解体しては再建してきたが、今シーズンはトレードデッドラインまでにブレイク・グリフィンとデリック・ローズを放出して、来シーズンに備えてきた。ここ数年の編成は成功よりも失敗が目立つが、将来性のある若手は揃っている。カニングハムが主力になることはほぼ間違いないが、まず論点となるのが起用法だ。ポイントガードのキリアン・ヘイズと一緒にプレーさせるのか、あるいはカニングハムをポイントガードで使うのか。

昨年オフにナゲッツから加入してエースとなったジェレミー・グラント、若いサディック・ベイやアイザイア・スチュワートは、ピストンズの浮上とともにリーグの注目選手になる可能性を秘めている。大ベテランのクリス・ポール加入を機に一気に飛躍したサンズのように、若いチームは何か一つのきっかけで化ける。カニングハムはそのきっかけを作り出すことができるか。サマーリーグ、そして来シーズン開幕が楽しみだ。