「今の時点で優勝は不可能」と言い切る分析力と強心臓
2010-11シーズンに優勝して以降、マーベリックスは世代交代を上手く進められず現在に至っている。だが、ようやく次世代を託せる若手が現れた。
これからのマブスを担うのは、2年目のデニス・スミスJr.と、ルーキーのルカ・ドンチッチになる。スミスJr.は1年目に才能の片鱗を見せ、2年目の来シーズンはさらなる飛躍が期待される。今年のドラフト3位指名選手のドンチッチは、19歳ながらヨーロッパの主要タイトルを総ナメにしたスーパールーキーで、今年の新人で誰よりもプロとしての経験を積んでいる。
満を持してNBA挑戦を決めたドンチッチは、自身とマブスが置かれている現状を冷静に分析している。スペインの『Marca』の取材に応じたドンチッチは、NBA挑戦についてこう語る。「何よりも難しいのはNBAへの適応だ。僕はすべてを勝ち取ったチームから、勝っていないチームに移籍した。自分の意識も変えないといけない」
そしてドンチッチは、こう断言している。「優勝は頭の中にあるけれど、今は不可能だ。優勝を狙うには5年は必要だろう」
希望に満ちたマブスファンには聞きたくない言葉だっただろうが、ドンチッチの見立ては当たっている。現在のNBAは最強王者ウォリアーズと、現役最強選手レブロン・ジェームズを中心に回っている。ウォリアーズが西カンファレンスで敗れる姿を想像するのは難しい。レイカーズ再興に力を貸すことを決めたレブロンもまだ数年はピークを維持するだろう。つまり、マブスがどれだけ力をつけようと、彼らを倒せなければNBAファイナルに勝ち進むことはできないのだ。
流石に5年後には、カリー、デュラント、レブロンら現在のスター選手たちもキャリア終盤を迎えているはず。一方のドンチッチは、5年後に24歳となる。その時までにはNBA仕様の身体も完成し、次世代を代表する選手に成長しているだろう。ドンチッチとともにスミスJr.も期待に応えられていたら、彼らがNBAベストのバックコートデュオになっている可能性は高い。
『欧州の逸材』は、プレーだけでなく、状況を見定める分析力とセルフマネージメントに欠かせない客観力においても、新人の域をはるかに超えた選手なのかもしれない。