「僕たちOBが思いを込めたこのボールを使って」
新型コロナウイルスの影響は大学バスケ界にも及んでいる。関東大学バスケのリーグ戦は、8月15日まで判断を待った上で、10月3日から11月13日までの日程で、1部から3部では12チーム1回戦総当たり11試合と規模を縮小して行われる予定。各大学はようやく練習を再開したところだが、東京ではまた感染者数が伸びており、100%の練習はできていない。
明治大では7月4日から練習を再開したが、まだチーム練習はできずに個人でシューティングやトレーニングを行っている段階だ。昨年に2部に降格。最短での1部復帰を目指すが、なかなかバスケットに集中できていない。
そんな中、明治大OBのプロ選手たちが動いた。例年、オフに大学の体育館に集まって試合をOB戦を行い、現役のプレーヤーたちと交流しているのだが、今年はそれを中止せざるを得ない。その代わりに、島根スサノオマジックの山下泰弘を中心にBリーグに所属するOB全選手が資金を出し合って購入したバスケットボール30個を後輩たちへと寄贈した。
「現役生に何かできることはないかと考えて、自分が大学生だった頃を思い出した時に、買えそうで買えないのがボールなので。日常生活からボールを触っておけば感覚的にも全然違います。またモノとして残る方が思いも伝わると感じました」と山下は語る。
7月11日の夜にはOBと現役選手が集まるオンラインミーティングを実施。山下の声掛けで金丸晃輔(三河)、田村晋(越谷)、田中成也(広島)、西川貴之(三遠)、中東泰斗と齋藤拓実(名古屋D)が集まり、現役選手と意見交換を行った。
「OBの皆さんの応援に応えるために頑張ります」
現在の明治大でキャプテンを務める富田一成は、ボールの寄贈への感謝とともに「OBの皆さんの応援に応えるために頑張ります。今年は必ず1部に上がります。またインカレで1部のチームとやれる機会があるので、そこで1部のチームを相手にしっかり戦うことが目標です」との意気込みを語る。
田中成也は「一番大事なのはチームの継続意欲で、練習でもチームの決め事をやり通すこと。それができればどのカテゴリーでも強い。やり続ける意思の強さ、横と縦の繋がりがあれば、どんなカテゴリーでも勝てます」とチームに檄を飛ばす。
また金丸晃輔は自身の大学時代を振り返り、1部昇格を果たした最初の試合で青山学院大にダブルスコアに近い差で大敗(2010年9月、明治大47-80青山学院大)したエピソードを語る。「2部では全勝で昇格したのに、1部で歯が立たなかったのは苦い思い出。昇格してもすぐ次の壁が来るので、常に1部のことを意識して戦うべき」と、昇格を誓う4年生ではなく3年生以下の選手たちに語り掛けた。
齋藤拓実が4年生だった時の1年生が今の4年生。「明治大は特に都心にあって、こうしてコロナが増えている中で難しい状況ですが、僕たちOBが思いを込めたこのボールを使って、できる限りの練習をしてもらえたらと思います」と、馴染みの深い後輩たちに奮起を促した。
OB戦以外でこのような試みをするのは今回が初めてとのことだが、母校を離れた後も、OBと現役選手たちの結び付きは強い。
参加メンバー一覧
横尾達泰(香川)
北向由樹(八戸DIME)
山下泰弘(島根)
金丸晃輔(三河)
田村晋(越谷)
田中成也(広島)
西川貴之(三遠)
清水隆平(埼玉)
中東泰斗(名古屋D)
安藤誓哉(A東京)
伊澤実孝(山形)
會田圭佑(京都)
斎藤拓実(名古屋D)
吉川治耀(埼玉)
宮本滉希(青森)
綱井勇介(青森)
森山修斗(広島)
今川友哲(滋賀)
須藤昂矢(横浜)