「正義を求め、慈悲の心を慈しみ、神様とともに歩む」
WNBA優勝4回を誇るスター選手マヤ・ムーアは、友人であるアフリカ系アメリカ人のジョナサン・アイアンズの無罪を求め、2019年にバスケットボールを離れる決断を下した。
ムーアは2007年に刑務所でのボランティア活動を通して、アイアンズと出会った。彼は16歳だった1998年に強盗と暴行の容疑で逮捕され、50年の実刑判決を受けて服役中だった。しかし、アイアンズの犯行を証明する証拠はなく、事件現場では指紋、DNA、血液も発見されなかったという。アイアンズを取り調べた刑事は彼が犯行を自供したと証言したものの、アイアンズ本人は否定していた。
出会ってから兄妹のような関係性を築いたアイアンズのため、ムーアは全盛期を棒に振ってまでアメリカの司法制度と戦うことを決意。自費で弁護士やカウンセラーをアイアンズに付けて再審を求め、今年の3月に有罪判決を覆す判決を勝ち取った。そして7月1日、ついにアイアンズが22年ぶりに釈放され、出迎えたムーアは感動のあまり泣き崩れた。
「正義を求め、慈悲の心を慈しみ、神様とともに歩む。これこそ私がやろうとしていたこと」と彼女は『espnW』に語っている。目標をクリアしたムーアが、今後バスケットボール選手としてのキャリアを再開させることに期待したい。