町田瑠唯

「自分のやるべきことを整理して臨めた大会」

2016年のリオ五輪に参加したバスケットボール女子日本代表の12名のうち、ポイントガードは吉田亜沙美と町田瑠唯、三好南穂。このうち三好はシューターとしての位置付けであり、司令塔としては2人体制で大会に臨んだ。当時23歳の町田は吉田に続く2番手のポイントガードとして6試合すべてに途中出場し、平均11.4分のプレータイムを得てチームを支えた。

あれから4年、町田は常に代表活動に参加しつつプレーの質を高め、特にスコアラーとしての能力は当時から格段に向上している。それでも日本代表におけるポイントガードの序列は流動的で、町田はなかなか先発にはなれなかった。指揮官トム・ホーバスの下で藤岡麻奈美が、次いで本橋菜子が台頭し、一度は引退した吉田もギラギラした勝利への欲求を取り戻して代表に戻って来た。今回のオリンピック予選では、本橋、吉田に続く3番手が町田の立ち位置。それでも、調子が上がらなかった2人に代わり、町田は自分らしいプレーでチームを引っ張り、自らの価値を証明してみせた。

「今回はガードの3番手で、どのタイミングで何分出るかも分からない状況で、自分の仕事をやる難しさはありました。でもしっかり自分のやるべきことを整理して臨めた大会ではあったと思います」と町田はこの3試合を振り返る。

「ナコやリュウさんに結構プレータイムがあったので、そこで一番元気な自分がかきまわすということで出してもらえてた部分はあったと思うので、それに応えようと思っていました」と語る町田は、これまで以上にアグレッシブな姿勢を見せ、10.7分のプレータイムで平均5.0得点、3.7アシストを記録。今大会のセカンドユニットにおいてホーバスは「オフェンスの町田、ディフェンスの吉田」と表現したが、実際に町田はオフェンス面で大いに力を発揮した。

町田瑠唯

「惜しかったねで終わるのが、すごくモヤモヤします」

それでも、勝利した初戦スウェーデン戦の出場は6分のみ。町田の活躍が目立ったのはベルギー戦とカナダ戦、どちらも追い上げる展開で持ち味を発揮したのだが、いずれも敗れているために、町田の表情は晴れない。

「満足はしていないです。今回最後のゲームもそうですし、惜しいところで勝ちきれないっていうのが自分の課題で、勝ちきれないところが良くないところ。惜しかったねで終わるのが、すごくモヤモヤします」

「ゲームメークももちろん、今日の試合だったら最後の大事なところでのドライブフィニッシュを決めていたら、またチャンスはあったのかなと思いますし、ターンオーバーも連続してやったので、ガードとしてはあまり良くなかったです」

東京オリンピックに向けた選手選考はまだ続くが、町田については当確と見ていいだろう。ここからはどこまで信頼を勝ち取ってプレータイムを得るかが問われる。それでも町田が意識するのは日本代表における自分の役割を全うすることであり、チームの勝利にいかに貢献できるかだ。

「正直、試合に出たい気持ちはあります。でも、チームのためにどれだけ貢献できるかっていうのを考えて、1分でも1秒でも自分の役割ができるようにと思っていました。吹っ切れていたのかな。やることはやる、って感じでした。自分ではそんなに意識していなかったですけど、自分がコートに入ることでオフェンスのテンポが上がったり、早いバスケットに繋がったり、ボールがテンポ良く回ったりと周りからは言われました。そこは自分の強みにしてやっていきたいです」

162cmの町田は、190cm台の選手も少なくない国際大会となれば一際小さく見える。それでもコート上で躍動するその存在感は大いに目立つ。東京オリンピックのコートでも、町田らしいプレーで一際目立ってもらいたい。