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ポポビッチも自信「今度はチームが彼の力になる番だ」

昨シーズンのプレーオフ、西カンファレンス決勝でウォリアーズと激突したスパーズは、カワイ・レナードが負傷により離脱した直後からペースを乱し、そのまま1勝もできずスウィープ(0勝4敗)負けを喫した。

レナードの離脱直後、本来ならチームを引っ張ることを期待されたラマーカス・オルドリッジは、第2戦と第4戦でそれぞれ8得点に終わり、逆にチームの勢いにブレーキをかける結果に。期待のかかる場面で存在感を発揮できなかったことで評価を落とし、このオフにはトレードの噂も絶えなかった。

だが、オルドリッジは、スパーズに移籍してからの2年間、実は起用法に不満を持ち続けていた。オフェンスの中心を担い、ほぼすべてのプレーがオルドリッジを起点に作られていたトレイルブレイザーズ時代とは異なり、スパーズの攻守はボールと人が動き続けることで機能するスタイルだ。

ブレイザーズで9年間も自分中心のシステムでやってきたオルドリッジが困惑するのも無理はない。だが、3年目の開幕を前にオルドリッジは遅ればせながら自らの過ちを認め、再スタートを切ろうとしている。『ESPN』の取材に応じたオルドリッジは、このオフにヘッドコーチのグレッグ・ポポビッチとヒザを突き合わせて話し合ったことを明かした。

「自分が思っていることを隠さずに伝えて、前を向いた。コーチも俺の話を聞いてくれた。俺はチームのシステムにフィットできていないと感じていたんだ。チームの力になれると感じていたのに、それができていなかった」

ポポビッチも『ESPN』に対し、「ウチに来るまで9年もキャリアを積んで、異なるプレーをしてきたんだ。彼の不安は道理に適っている」と語るが、解決策はすでに見いだしている。「どうすれば彼が今より快適にプレーできるか、チームが強くなるかを話し合った。主にオフェンスについてだったが、もともと彼のディフェンスは素晴らしい。今度はチームが彼の力になる番だ。彼がオフェンスで今までよりも快適にプレーできるようにする。その部分を私が上手くできていなかった」

オルドリッジは、自分にボールが回ってこなかったことを「きっと、自分にもチームにも原因があった。俺はボールをもらえると思っていなかったから」と振り返る。「昨シーズンは本気で走っていなかっただろうし、きちんとプレーできていなかったから、周りも俺を探さなくなった。そのことに気づいた時には、もう遅すぎたんだ」

今シーズンのスパーズは、ブレイザーズ時代の9年間で平均22.4得点を記録したオルドリッジの力をオフェンスで生かすため、もしポゼッション時にオルドリッジがインサイドに入ってたら、相手が守備体型を整える前にポストアップさせるという作戦を取り入れようとしている。

また、ポポビッチはオルドリッジに今シーズンの3ポイントシュート数を増やすことを要求。ブレイザーズ最終年の2014-15シーズンには105本の3ポイントシュートを放ったオルドリッジだが、スパースでの2年間では72本しか打っていない。オルドリッジは「今シーズンはコートを広げるつもりだよ。だから3ポイントシュートの練習にも力を入れた」と話した。

今夏のスパーズの補強はルディ・ゲイを獲得したくらい。ライバルチームがこぞって大規模なチーム改革を行っているのとは対照的だ。だが、スパーズは補強できなかったのではなく、あえて継続路線を選択しただけ。チームの総合力を武器に、くすぶっていたオルドリッジを復活させることで底上げを狙う。3年目にしてようやく、スパーズが求めていたオルドリッジのプレーが見られるかもしれない。