ヘイワードとトーマスの年俸分をどう工面するかがポイント
フリーエージェントのゴードン・ヘイワードは、セルティックスへの移籍を決断した。以前から噂されていた通りの結果になり、セルティックスが打倒キャバリアーズの筆頭格に浮上したのだが、少々厄介な事態になりつつある。
『ESPN』によれば、ジャズとセルティックスは、ヘイワードを含むサイントレードを検討しているという。この案を実現させるためには、まずヘイワードが古巣ジャズとの契約に合意し、それからセルティックスとの交渉に入る流れになる。気になるセルティックスが放出する選手には、守備と3ポイントシュートが武器のジェイ・クロウダーが浮上。ヘイワードと同じスモールフォワードで、セルティックスは今年のドラフト全体3位で同ポジションのジェイソン・テイタムを指名したため、これは妥当な人選と言える。
しかし、問題はクロウダーの放出だけではない。最も重要なのは、セルティックスがどうやってヘイワードと合意した4年1億2800万ドル(約144億円)というマックス契約分の資金をキャップスペースに確保するか、ということだ。
来シーズンのチーム総年俸にあたるサラリーキャップは9909万3000ドル(約111億円)で、セルティックスの来シーズン総年俸は現時点でおよそ7123万ドル(約80億円)。今後はエースのアイザイア・トーマスとの契約交渉に入り、おそらくヘイワードと同等のマックス契約を結ぶと見られている。つまり、ヘイワードとトーマスの年俸にあたる6000万ドル(約68億円)超の金額を加算すれば、ラグジュアリータックスが科せられる年俸総額上限の1億1192万6600ドル(約126億円)のタックスレベルを遥かに上回ってしまう。
もっとも、チームを優先するトーマスが、ウォリアーズとの新契約に合意したケビン・デュラントのように、条件面で大幅に譲歩する可能性はある。それでも来シーズンの総年俸をタックスレベル未満に抑えられるかどうかは微妙なところだ。
ただ、クロウダーに続き、マーカス・スマート、エイブリー・ブラッドリーといったNBA屈指のペリメーターディフェンダーを放出してしまっては、チームディフェンスに与える影響は大きい。最高の補強を成し遂げつつあるセルティックスだが、最後の難局をどう切り抜けるのか。球団社長ダニー・エインジの決断に注目したい。