文=丸山素行 写真=鈴木栄一
速い展開に持ち込み、体格差をものともせず快勝
女子日本代表は今月の23日から29日に開催されるアジアカップを控え、6月18日から約3週間の合宿を行っている。メディア向けに公開された本日の練習では、昨年のNCAAチャンピオンのサウスカロライナ大学を迎え、スクリメージが行われた。
大学生が相手と言えど、体格では相手が上回り、どのポジションでも身長のミスマッチを強いられた。前半は日本が得意とする速いバスケットが展開できず、オフェンスリバウンドから得点を許すなど、インサイドで失点を重ねリードを許した。
それでも大﨑佑圭がインサイド、アウトサイドともに高確率でシュートを沈め、徐々に日本がペースをつかむ。大崎のブロックショットから走り、アウトナンバーからノーマークの近藤楓が3ポイントシュートを沈めて逆転。その後、篠崎澪の速攻や町田瑠唯のドライブなど、途中出場の選手がそれぞれ役割を果たし、32-28で前半を終えた。
後半に入ると、日本の優勢は明らかに。新チームになって日が浅く、連携に難のある相手に対し、しつこくプレッシャーをかけタフショットを打たせると、そのリバウンドから得意の速い展開に持ち込んで得点を重ねた。前半と違ってリズム良く放つシュートは次々とネットを揺らし、終わってみれば78-57の快勝となった。
トムコーチ「ベストのバスケを見せたい」
今日のスクリメージを含め3試合を行い、すべての試合に勝利したというが、指揮官のトム・ホーバスは決して満足した様子ではなかった。特に今日の前半は顔をしかめるシーンが何度もあった。「僕が心配なことがやっぱり出た。(昨日の)第2ゲームが30点差をつけるすごい良いゲームをして、今日は気持ちが落ちたかなと。最初から後半のようなプレーをしないと」
確かに試合の前半では「ちゃんとやれ」、「こんなんじゃ意味がない」といった声がベンチから聞こえていた。「サウスカロライナはオフシーズンですから、長い時間練習をやっていない。WNBAにドラフトピックされた3人の良い選手が卒業して若い選手中心だったから」と、あくまで勝利は最低条件で、内容について注文を付ける姿勢だった。
「オンボールでのドライビングプレーがもっとできるかなと思ったけど、あまり上手にやれなかった。ターンオーバーが多くて、オフェンスリバウンドを取られた」とトムコーチからは反省の弁が続いた。
今週末にはオランダとの親善試合が控えている。アジアカップを控えた最後の試合であり、日本のファンの前での試合に向け、「日本のお客さんの前でやる最後の試合なので、ベストのバスケを見せたい。速いバスケで、強くしつこいディフェンスを見せたい」とトムコーチは締めた。
以前からオランダ戦はアジアカップを戦う12人で臨むと公言している。渡嘉敷来夢が加わることは確実なため、ここから4人の候補者が脱落する。代表生き残りのサバイバルレースも佳境を迎え、オランダ戦までのあとわずかな時間で候補者たちは最後のアピールを行う。