日本の速攻が炸裂した理由とは?
7月17日、日本バスケットボール協会(JBA)の伊藤拓摩強化委員長がメディアブリーフィングを行い、『FIBAワールドカップ2027アジア予選』Window3での男子日本代表の戦いを振り返った。
日本はともにアウェーで中国、韓国と対戦し、Window3を1勝1敗で終えて2次ラウンド進出を決めた。中国戦は23-8で上回った速攻での得点が勝因となり93-72と快勝した。高さの不利を補うためにも速攻での得点は大事で、長年日本は速攻をキーポイントに挙げていたが、それを体現できることは少なかった。だが、中国戦での速攻は過去一番の出来と言えるほどの破壊力を見せた。何故あれだけ速い展開に持ち込めたのか。伊藤強化委員長は「しっかりと準備ができたのが一番」と語った。
「もともと速い展開のバスケットをしなければいけないというところで、今回は速攻の組み立て方も意識をしていたところは大きいかなと。ターンオーバーを誘ったり、良い状況でリバウンドが取れてそれが速攻につながるというランダムな中での得点を取る方法。走り方やマインドセットなど、ここの導入の仕方もすごく徹底されているなと思いました」
「ディフェンスがある程度戻った状態でのトランジションの組み立て方も非常に上手く、相手のシュートが決まった後にどれだけ早くボールを出して次の展開にするのかというところも組織的に共通認識ができていました。組織としてのシステム、そしてシステムと関係ないランダムからくる個人の走る能力。ここのバランスが非常に上手く取れていました」
失点後の素早いリスタートからの速攻は特に効いていた。ただ、アウトナンバーが完全に作れていない状況での速攻は無理に持っていく感が否めず、精度に問題が出たり、シュートまで持ち込めない場合もある。伊藤強化委員長も「本来なら、シュートが入った後はなかなか速攻を作りにくい場面ではある」と言う。それでも、ここまでの威力を発揮できたのはディテールの徹底ができていたからだ。
「クイックインバウンドをしてその状態で走ることもスキルです。よく、ネットからボールを取り出すという表現があるんですけど、ボールが落ちてくるのを待つのではなく、シュートが入った瞬間にボールをネットから取ってそのままベースラインを踏まないようにして、速攻につなげる。これはランダムでもあるんですけれど、これはコーチたちが導入している戦術の1つでもあります。それはシステムとランダムの間ですね。システム的なところで、相手が半分戻ってきた時に誰がどこのレーンを走るかとか(も含め)、そういうバランスがすごく上手くいっていました」
40分間を通して日本がやりたいバスケットを体現し、相手の高さに対してスピードとボールプレッシャーで圧倒。「スカウティングまでもがしっかりと準備できていた」と伊藤強化委員長が振り返る通りの完勝だった。しかし、続く韓国戦は中盤の2桁リードを守り切れずに惜敗した。韓国のフィジカルかつ連携が向上したハーフコートバスケットを止められず、特にミドルレンジのシュートを多く許したことについて言及された伊藤強化委員長は「それを決めきる韓国はさすがだと思いました」と言いつつも、敗因は別にあると私見を述べた。
「苦しいミッドレンジを打たせるディフェンスをしていました。もしかしたらもっと苦しい状況で打たせられたかもしれないですが、あれが入ってしまったら次のプレーに行こうというメンタリティも必要だったと思います。ただ、それが原因ではなくて私たちのオフェンスが後手に回ってしまったことや、決めるべきシュートが決まらなかったこと、ターンオーバーからの相手の速攻がかなり大きかったと思います」
「特にミッドレンジのバンクシュートは印象に残ると思いますが、それで流れが変わったとは思っていません。もしかしたら現場はまた今度韓国と戦う時に違う戦略を練らなければいけないかもしれないですが、今回の試合に関してはやるべきことをやって苦しいシュートを打たせて、それを相手が決めきったと感じました」
かつての日本は3ポイントシュートに特化し、そこを封じられると手詰まりになる脆さがあったが、現在はそこからの脱却を図っている。そして、今まで以上にシステマティックにしていったことが、トランジションオフェンスや増加したペインタッチに繋がっている。
伊藤強化委員長は「課題はもちろんたくさんありますが、まだまだ日本は強くなるなと感じました」とWindow3を総括した。これは決してリップサービスではなく、桶谷新体制で前進している手ごたえがあるからこそ。チーム全体の共通認識が今まで以上に浸透していると思わせる、伊藤強化委員長の言葉だった。
