
前半に12得点を挙げるも、後半は2得点に終わる
桜花学園はウインターカップ決勝戦で大阪薫英女学院に61-66で敗れ、4年ぶりの夏冬連覇を逃した。
最初に主導権を握ったのは桜花学園だった。ドライブが効果的に決まったことで、オフェンスの選択肢が広がり、後手に回った薫英を突き放していく。特に竹内みやはキレのあるドライブでディフェンスを切り裂き、その卓越したテクニックに会場がわく場面もあった。竹内も「前半は自分のドライブが結構効いて得点にからめました」と、自身のプレーに手ごたえを感じていた。
実際、竹内は前半だけで12得点を挙げ、9点をリードして折り返す立役者となった。しかし、後半に入ると流れが一変する。守り方を変えてきた薫英のゾーンの前に簡単にシュートが打てず、ペイントエリアに侵入しても、タフな姿勢で放つシュートのほとんどがリングにはじかれた。
竹内は後半をこのように振り返る。「後半、(ディフェンスの)やり方を変えてきた時に攻め方が分からなくなってしまったというか。3ポイントシュートを多分一本も打っていないですし(実際のスタッツは1)、ずっと困った状態でやっていました」
薫英の安藤香織コーチは試合後の会見で「ガード陣のドライブがかなり速すぎて守れる状態ではなかった」と語っている。そのため、ゾーンディフェンスに切り替えたが、これが勝敗を分けるポイントになった。
「『今日はガチンコ勝負だ』ってことでマンツーマンで始めたんですけど、守れなかったです。前半の途中から、一桁ぐらいで終われば後半はディフェンスを切り替えて戦おうと思っていて、ちょうど9点で終わってくれました。このまま行っても同じだと思ったので、ゾーンプレスとマッチアップゾーンみたいな形で、ドライブとリバウンドを抑えようとしました。 後半はゾーン気味にすることでガード陣のドライブも抑えられたし、そこに対してのトラップも仕掛けることができたと思います」

「日本一のガードになりたい」
特に竹内のドライブは警戒された。一人を抜いても見えないところから2人目、3人目が寄るなど、薫英は常に目を光らせていた。竹内は過去に『困った状態』でプレーした経験は「あまりない」というが、自身だけでなくチームも浮足立ったことで深みにはまったと考えている。
「2人目のヘルプも早くて、2人目が出てきた時に周りとの合わせもあまり上手くいかなかったです。どこにパスをすれば良いのか迷ってしまった状態で、2人目が出てきたことによって攻めづらかったです。全員が動揺して終わってしまったんですけど、今回対応できなかったのは多分全員が『負けちゃいけない』っていうのが頭にあって、そういう気持ちがあったから焦って、対応できなかったんじゃないかと思います」
得点を取ることを役割とする竹内にとって苦い経験となったはずだ、それでも、失敗を糧にする強さが竹内にはある。そして、あらためて「日本一のガードになりたい」と語った。
「試合中はどうしたら良いのかあまりすぐ考えられなかったですけど、冷静になって今考えてみればいろいろな方法は思いつくので。相手がしてきたことへの対応力とか、判断力の早さとか、ポイントガードとしてのIQの部分をもっとつけていかないといけないと思います。課題が出たということは、自分に伸びしろがあるってことですし、まだまだ成長できるなって。新人戦もすぐに始まるので、ここで下を向いてる場合じゃないです」
ウインターカップが終わっても、次の大会がすぐにやってくる。決勝戦の後半で止まってしまった時間は、竹内にとって成長への出発点でもある。日本一のガードを目指す、彼女の挑戦はもう始まっている。