清々しい表情で「弱かった自分を鍛え直してくれました」
12月23日、高校バスケの祭典『ウインターカップ2025』が開幕。日本一を目標に活動してきた県立小林は1回戦で鳥取城北と対戦し、57-69で敗れた。
前半を2点ビハインドで終えたが、橘裕コーチが「ウチは深いコーナーを使うことを意識して、コートのギリギリまで選手を配置してフロアバランスを取るんですけど、コーナーからのプレーで対策をされている印象がありました」と振り返ったように、ハーフコートオフェンスで得点が伸び悩んだ。40分間フルコートで当たり続けるスタイルで、ターンオーバー奪取からワンマン速攻に持ち込む得意のプレーも見られたが単発に終わり、後半は19得点しか奪えずにタイムアップを迎えた。
『小さいチームに何ができるか』をとことん追求した小林だったが、高さの不利を覆すことはできなかった。キャプテンの吉田柚亜は「球際の弱さが目立ってしまって、留学生に簡単にリバウンドを取られたり、リバウンドからのシュートを簡単に与えすぎてしまって、そこがすごくもったいなかったです」と言う。実際に22本ものオフェンスリバウンドを奪われた。
セカンドチャンスポイントはダメージの大きい失点で、追い上げムードを断たれてしまうことも多い。それでも、気持ちが折れなかったのは「やりきる」ことを何よりも大事にしているからだ。「40分間絶対にやりきるということをチームで話していました。練習中から、落ち込む時間がもったいないからそれだったら自分たちが心がけている速いバスケットをどんどん進めていこうと話していました。毎日の練習からずっと積み重ねてこれたから、そこはやられてもそんなに落ちることなく、最後まで続けられたと思います」
夢が潰えた直後だったが、悔しさよりもやりきったことを前向きにとらえる振る舞いを吉田は見せた。それはコーチとの約束を最後まで守った証拠である。「ずっとキャプテンとしてやってきたから、最後も誇らしげな表情でみんなに語れって言われました。それは自分の役割だと思っているので、一番明るい表情でみんなに話をしました。自分の背中を見てみんながついてきてくれているし、自分が舵を切ってやらないといけないという考え方は、先生と一緒にずっと作ってきたので、最後までやりきろうって思いました」
現在の3年生は部活だけでなく、1年生のころから担任の先生としてもコーチと過ごしてきた。それだけに橘コーチも「特に思いは強い」と言う。そんな橘コーチにキャプテンを任せられ「魅力的な人間になれ」と指導を受けてきた岡田は感謝の気持ちを持って、コートを後にした。
「自分のどこがダメなのかや逆にどこがいいかという部分を的確に伝えてくださって、弱かった自分を鍛え直してくれました。この舞台で強くプレーできたのは、絶対に先生のおかげだと思います。自分でしっかり考えながら、キャプテンとしてこの1年をやりきれたので、本当にありがとうございましたって言いたいです」
