
「上手くいかなかった時に、どう立ち直るか」
ブラッドリー・ビールを試練が襲っている。現地11月6日、移籍後初めてフェニックスでの試合があり、昨シーズンまで所属したサンズのファンから盛大なブーイングを浴びた。サンズで過ごした2シーズンは振るわず、残りの契約を5年分割で受け取る形で退団した彼は、ファンの反感の対象となっている。ただ、敵意よりもキツいのは、この試合でフィールドゴール14本中2本成功の5得点と大不振に終わり、それがフェニックスのファンを喜ばせたことだ。
古巣との関係を抜きにしても、ジェームズ・ハーデンとカワイ・レナードが欠場したこの試合で、ビールはクリッパーズのオフェンスのファーストオプションとなった。それで結果を出せなかったのは悔しかったに違いない。
それでも試合後のビールは平然としていた。「みんなは大袈裟に騒ぐけど、古巣対決という意識はない。ただの1試合だよ。僕のことが嫌いなファンもいれば、歓迎するファンもいる。全員を満足させることはできない」
「サンズでもっと上手くやれたはずだ、という思いはあるよ。可能性のあるチームだったから、特別な何かを成し遂げることができたかもしれない。だけど、それは実現せず、僕らはそれぞれ前に進んだ。KD(ケビン・デュラント)やブック(デビン・ブッカー)がそうであるように、僕も今自分の置かれた状況にワクワクしている。ファンは怒りや悔しさを感じているんだろう。僕らも内心では同じ気持ちだけど、僕らはプロとして前に進まなければならない。その精神的な強さがなければプロとは言えないんだ。上手くいかなかった時に、どう立ち直るかなんだ」
その2日後にはホームに戻って再びサンズと対戦。復帰したハーデンとコンビを組んだビールだが、この試合も12得点と爆発とはいかず、チームも連敗となった。この試合でのビールは、股関節に痛みが出て第4クォーターはプレーせず。指揮官タロン・ルーは「何試合か欠場することになりそうだ」とコメントしたが、検査で股関節の骨折が判明した。ビールのエージェントは手術により今シーズン終了になることを明かした。
指揮官ルーは同じミズーリ出身のビールの復活に賭けていた。オフに左膝を手術した影響でプレシーズンは最後の1試合にしか出場できず、20分のプレータイム制限があるビールをノーマン・パウエルに代わる先発に据え、試合のリズムをつかませようとした。ビール自身も本調子ではなかったが復活を信じ、一歩ずつ前進しようとしていた。
その矢先に、慎重に管理していた膝とは異なる部位のケガを負った。ビールは再び治療とリハビリの日々を過ごし、「上手くいかなかった時に、どう立ち直るか」という命題と向き合う。
そして、彼の離脱はクリッパーズにも大打撃となる。クリス・ダンが先発に昇格するだろうが、層の薄さは否めない。ただでさえベテランが多く、負荷管理が必要なカワイはここまで10試合中6試合にしか出場していない。3年目のコービー・ブラウンや2年目のキャム・クリスティの出番が増えるだろうが、補強も模索することになりそうだ。