主力の3ポイントシュート成功率は30%前後と改善必須
昨シーズンのマジックは、パオロ・バンケロとフランツ・バグナーを中心に飛躍が期待されましたが、ケガ人続出に見舞われ、プレーオフには進むもファーストラウンドであっさりと敗退しました。挽回を期す今シーズンはデズモンド・ベインを補強し、勝利だけを追い求めます。
ケガ人の続出は不運な面もありますがリーグ最低の成功率に終わった3ポイントシュートも改善は必須です。主力のほとんどが成功率30%前後で、40%を超えたケイレブ・ヒューストンも移籍しました。だからこそ大きな対価を払ってでもベインを迎え入れました。
ルーキーシーズンから高確率のシューティングを武器にしていたベインは、自ら仕掛けてのプルアップでも、オフボールでフリーになってのキャッチ&シュートでも、どんな形からでも高確率の3ポイントシュートを決めることができ、3人目のエースとして最適な存在です。ディフェンス面でもフィジカルの強さを生かした貢献が期待できるため、ディフェンスファーストのマジックのチームカラーにもマッチします。完璧な補強と言える選手だけに、チーム力は間違いなく上がるはずです。
だからと言ってマジックのシューティング問題が解決するわけではありません。特にバンケロとフランツの両エースに改善する気配が見られず、3人目の得点源として期待されたジェイレン・サッグスは昨シーズンにアテンプトを増やした結果、成功率を大きく落としました。3年目のアンソニー・ブラックとジェット・ハワード、2年目のトリスタン・ダ・シルバなど、若手も揃ってシュート精度に課題があり、個人レベルでの改善が必要不可欠です。
そんな中、プレシーズンではルーキーのジェイス・リチャードソンが攻守に質の高いプレーを披露しています。ダンクコンテストを連覇した父親のジェイソン・リチャードソンとは異なり、183cmとアンダーサイズながら次のプレーを読むインテリジェンスの高さと正確なプレーは、ディフェンスではエースキラー役として、オフェンスではシューティング担当として機能しそうです。
リーグ最少失点のディフェンスという武器を損なうことなく、弱点を補う補強とドラフトに成功しただけに、昨シーズンを大きく上回る勝ち星が期待できます。しかし、プレーオフで勝つためには若手全員のステップアップが欠かせません。今後はサラリーキャップが苦しくなることが予想されるだけに、個々の選手の成長にフォーカスしながらも、チームとしても今シーズンに十分な結果を出したいところです。