「自分らしいやり方で若いチームを引っ張っていく」
昨シーズンのウィザーズは7勝36敗の時点でウェス・アンセルドJr.を解任し、アシスタントコーチのブライアン・キーフに暫定で指揮を執らせた。空中分解しかかっていたチームをキーフはまとめ直し、前向きに戦う気持ちを取り戻させてシーズンを乗り切った。
プレーの面でキーフがもたらした最大の変更は、ジョーダン・プールのポイントガード起用だろう。チームで最もスキルが高いが、ウォリアーズでの失敗から自信を失っていたプールに全く新しい役割を与えて気持ちを切り替えさせ、プレーに集中させた。「自分らしさを彼に取り戻してほしい」とキーフは言い、プールはそれに応えようとした。
そんな指揮官にプールは信頼を寄せている。「シーズン途中での引き継ぎは大変だろうけど、彼は自分のバスケへの情熱を伝えることで僕たちのメンタルを上向かせ、プレーのインテンシティを引き上げた。そのバスケを新しいシーズンに持ち越すことができる。オフの間、彼とはかなりたくさん話した。オフシーズンに入念な準備をして迎えるチームがどんなものになるのか楽しみだよ」
今オフにキーフが正式なヘッドコーチになると、プールのポイントガードも『暫定』から『正式』に変わった。ラプターズとの最初のプレシーズンゲームにもプールは先発ポイントガードとして出場。22分の出場で16得点6アシストというスタッツ以上に、自分がこのチームを引っ張っていくという意思を前面に押し出す姿が印象的だった。
1年前は彼にとって初めての移籍で、ウォリアーズを『ほぼ最悪の形』で去った後だけに、ウィザーズへの順応にはかなり手間取った。それでも苦難のシーズンを経て自信を取り戻すきっかけをつかみ、プレーの幅も広げて、自身6度目の開幕を前向きな希望とともに迎えようとしている。「環境にはもう慣れて、すべてがスムーズだ。チームのことをよく知ったことで、ポイントガードとしてのプレーもやりやすくなる」とプールは言う。
「昨シーズンの経験に新たな戦力を加えたチームで、ポイントガードを自分の役割としてシーズンに乗り出す。チームメートに良いリズムを与え、トランジションの起点となり、自分らしくプレーする。そのすべてはNBAでこれまで僕がやってきたことの延長線上にあるけど、それ以上の責任も担うつもりだ。僕は自分らしいやり方で若いチームを引っ張っていく。コート上でポジティブなエネルギーを発揮していきたい」
ウォリアーズでは優勝も経験したが、ドレイモンド・グリーンに殴られ、殴られた側の彼がチームを去ることになり、わだかまりは残っているだろう。それでもプールはウォリアーズの良かった面だけを拾い上げ、今後に生かそうとしている。
「ポイントガードの一番の仕事はチームメートに自信を持たせることだ。良い状況でボールを渡して成功に導く。みんな自信を得ることでそれぞれの個性を伸ばし、成長できる。キャリア最初の数年で僕はそうやって導いてもらった。これまでは教わったことをどう生かすかを考えてきたけど、これからは若い選手たちに伝えるのも僕の役割になる」
そして彼は、苦しい時期を経験したことで学んだ教訓を語った。「自分らしくとは、自分に正直であること。つまり子供の頃からずっと変わらない、バスケをプレーする喜びを素直に表現することだ。時には厳しい試合もあるし、連敗することもある。思うようにプレーできず、シュートが決まらないこともあるだろう。でも、そんな時もプレーへの情熱を忘れず、一つのチームとして一緒に成長することを意識したい。それを全員が理解しているから、僕たちは良いチームになれると思っているよ」