「自分たちが成し遂げたことの大部分を担う存在だった」
『ミスター・サンダー』の愛称でサンダーファンから絶大な人気を誇ったニック・コリソンは、その功績を称えられ、本拠地をオクラホマシティに移転させてから初の永久欠番という名誉を授かった。式典でのスピーチで、コリソンはサンダーで苦楽を共にしたラッセル・ウェストブルックを称えたが、実は会場には、もう一人の球団功労者であるケビン・デュラントも来ていた。
デュラントは式典の輪には加わらなかったものの、多忙なスケジュールの合間を縫ってオクラホマシティに赴き、先輩であるコリソンの晴れ姿を目に焼き付けた。
コリソンに『ミスター・サンダー』というニックネームをつけたのは、デュラントだった。式典前、『ESPN』のインタビューを受けたコリソンは、デュラントの背番号35も永久欠番にすべきと語った。
「(デュラントの来場について)最高だと思ったね。ケビンとは長く一緒にやったし、彼は本当に特別なチームメート。彼が素晴らしい選手だからという理由以外にも、一番長く一緒にプレーした選手の一人だから。オクラホマシティで築き上げたものの大半に、彼もかかわっている。彼が来てくれるというのは、本当にうれしい。シーズン中に都合をつけるのは簡単ではないんだ。それに、ここに戻ってくるという意味においても、彼にとっては簡単なことではないはず。それでもうれしいね。何度かメールで連絡をしたんだ。彼に会えるのが楽しみだよ」
「(デュラントの永久欠番は)球団の判断になるけれど、そうすべきだと思う。彼はサンダーにとって大変意味のある人物だし、キャリアの大半をここで過ごした。自分から必要以上に訴えることはしないし、色々な議論は周りに任せるよ。でも僕にとっては、彼は自分たちが成し遂げたことの大部分を担う存在だったんだ」
デュラントの来場の方が話題の中心になってしまう可能性を聞かれたコリソンの返答も、実に彼らしかった。
「気にならない。彼が戻ってくることに関心を持つ人も多いだろうね。でも、今回の式典は自分、それに自分の家族にとって特別なもので、周りが何を言おうと、僕たちにとって素敵なものになる。彼は、自分と過ごした時間を大切なものとして考えてくれているから来場したかったんだと思うよ。とてもうれしい。なんの問題もない」
2016年のオフにフリーエージェントになったデュラントは、優勝のためオールスター3選手を擁したウォリアーズへの移籍を決断し、物議を醸した。この選択に大半のサンダーファンが怒り、2016-17シーズンにデュラントがオクラホマシティに帰還した際には、怒号に近いブーイングで元エースを歓迎。元チームメートのウェストブルックも、一時期デュラントに相当な嫌悪感を抱いていた。
だが、時間が経つにつれてサンダーファンの怒りも大分和らいだ。コリソンが言うように、異論も出るだろうが、サンダーの創設期メンバーの一人で、弱小チームから強豪に押し上げた功労者の一人という事実は変わらない。いつになるかは分からないが、コリソンの4番の隣に35番が掲げられる日はもくるだろう。