「一生懸命プレーしてタイトルをもたらしたい」
セブンティシクサーズは今オフで最も精力的な補強を見せているチームだが、その中でも最も意義ある動きはタイリース・マクシーとの契約延長だろう。NBA4年目のキャリアを終えた23歳の若者は、シクサーズとの5年総額2億400万ドル(約310億円)のマックス契約にサインした。
シクサーズは契約更新のお披露目イベントとして、『タイリース・マクシー・ミュージアム』を作った。4年間のNBAキャリアを映像やデータで振り返るだけでなく、ユニフォーム販売や地域貢献などコート外の活動にまつわる情報も盛り込み、家族の協力を得てマクシーが子供の頃から使っていたシューズや獲得したトロフィー、当時の映像を提供してもらった。さらにはフィラデルフィアのファンからの手紙200通が展示された。コーンロウの髪型で登場したマクシーは、このサプライズに大喜びだった。
シクサーズの愛情は少々行き過ぎるが、今回のもてなしは彼の心を打った。契約延長の会見でマクシーは『マクシー・ミュージアム』について「家族全員に友達まで、この時期にテキサスからここまで来るのは変だと思っていたんだよ」と笑い、「この愛情に報いるためにも、一生懸命プレーしてタイトルをもたらしたい」と続けた。
シクサーズはポール・ジョージを始めとする大型補強で優勝候補へと躍り出る。チームの大黒柱であるジョエル・エンビードを筆頭にタレントは豊富だが、マクシーは巨額の契約に見合った選手としてリーダーシップを発揮すると宣言した。
「みんなを引っ張っていくリーダーシップは、選手として活動していく上で最も重要だと考えている。今の僕はみんなを支えられる立場になった。これまではジョエルが一緒に練習しようと誘ってくれたり、それが長い道のりを進む僕にとっては大きな支えになった。僕はまだ若いけど、ジョエルは『みんなを引っ張るべく声をあげろ』とアドバイスしてくれる。ここに来てからの僕は毎日少しでも多くを吸収し、成長しようとしてきた。その姿勢を変えるつもりはないけど、その姿勢で周囲に模範を示していきたい」
そしてフィラデルフィアの熱狂的なファンへの感謝について、『ミュージアム』で示されたマクシーのユニフォームの売り上げが急上昇していることも含めて、「ちょっと前までは僕のユニフォームを着ている人はそんなにいなかったから、試合会場でみつけて手を振るのは簡単だった。今も全員にそうできるよう努力はしているんだ」と笑みを浮かべる。
「みんなには僕の感謝の気持ちを伝えたい。僕も子供の頃は好きな選手のユニフォームを持っていて、それが宝物だった。その気持ちが分かるから、今でも0番のユニフォームを着ている人を見るたびに心が躍るよ。フィラデルフィアだけじゃなく、僕の故郷ダラスでも他の都市でも、僕のユニフォームを着ているファンを見ると最高の気分になる。そんな人たちをがっかりさせないためにも、すべての試合に出て、毎回全力でプレーして、試合に勝ち、ファンに誇らしいと思ってほしいんだ」
チームへの注目度が高まれば、若手からリーダーへと立場が変われば、そして高額の契約を手に入れれば、それはプレッシャーにもなる。しかし、23歳のマクシーは前だけを見ている。