ルカ・ドンチッチ

「プレーオフではよりフィジカルな戦いになる」

クリッパーズのカワイ・レナードは、プレーオフの第2戦でおよそ3週間ぶりの復帰を果たした。先発で35分の出場と長い時間コートに立ったが、まだ無理はしていないようだ。それでも15得点7リバウンド2アシスト4スティールと存在感を発揮している。

ただ、現地4月23日のクリッパーズvsマーベリックスで主役を演じたのはルカ・ドンチッチだった。初戦を落とした後の第2戦で、彼は『プレーオフ・モード』に入った。マブスのフィールドゴール76本のうち26本を彼が放ち、チームの96得点のうち32を彼が決めた。さらにアシストも9を記録。最初から最後までエネルギー全開だった。

第1戦で敗れたことで、ドンチッチとカイリー・アービングの2人だけでオフェンスをやりすぎているとの批判もあったが、ドンチッチはそのスタイルを頑として貫いた。その一方で彼自身が自ら反省した「出だしで大事に行こうとして勢いを欠いた」という部分は完全に修正し、試合の立ち上がりから攻めに攻めることでクリッパーズを打ち砕いた。

ドンチッチのエネルギー全開は、感情も爆発させることを意味する。第3クォーターの最後にはシュートを決めた後に審判に向かって吠え、テクニカルファウルを取られた。これで与えたフリースローでクリッパーズに勝ち越されて第3クォーターを終えたのだから、マブスとしては痛手だったが、結局のところドンチッチが感情を爆発させることはプラスに働いた。指揮官ジェイソン・キッドは言う。「ルカは感情でプレーするタイプなのは分かっている。テクニカルは余計だが、彼の気持ちがチームメートに伝わることはポジティブで、チームにとって必要なんだ」

ドンチッチは46分の出場で攻守にフル回転し、ディフェンスがきっちりマークしていても自分が打つべきだと思えば躊躇なくシュートを狙っていった。第4クォーター残り7分ではカワイの前から、残り2分ではジェームズ・ハーデンの前から、タフなシュートをあえて選択してねじ込んでいる。そして次のオフェンスになればダブルチームが来るのを待ち、最適なタイミングでオープンな味方にパスを出して、相手ディフェンスを手玉に取った。

さらにはディフェンスでも奮起した。ドンチッチは点を取ることに全エネルギーを注ぎ、守備は味方任せにする部分がある。クリッパーズに限らずどの相手もそのことは分かっており、ドンチッチの緩慢な守備を突き、彼にストレスを与えることも狙ってくる。だが、この試合でのドンチッチは足を動かすことを厭わずに粘り強い守備を見せ、決してディフェンスの穴にはならなかった。

「プレーオフだからね、いつもとは違うよ」とドンチッチは笑った。守備をしない選手という批判は当然分かっているし、相手チームがそれを突こうとしてくるのも分かっている。「僕を狙うなら狙えばいい。それが僕を奮い立たせてくれる」

ディフェンスの貢献は1スティール1ブロックという数字では計れないが、マブスのチームメートはドンチッチの変化に間違いなく気付いているし、それで彼らは奮い立つ。指揮官キッドはうれしそうにこう言った。「ルカがあのレベルでディフェンスをすれば、どの選手ももっとやらなきゃいけないと思うものさ。彼はオフェンスだけでなくディフェンスでもチームを引っ張っている」

プレーオフ・モードのドンチッチは異次元だ。感情的にプレーしているが、冷静な部分も残している。それはジャッジとの駆け引きだ。「プレーオフではよりフィジカルな戦いになるし、審判もあまりファウルを取らない傾向にある。オフェンスとディフェンスの両方で、今まで以上に激しくやるつもりだ」