ジョエル・エンビード

「健康でプレーしたいし、ベストメンバーで戦いたい」

セブンティシクサーズとウィザーズの一戦は、点差は開かなかったもののシクサーズが余裕を残して勝ち切った。それはジョエル・エンビードが、その気になればいつでも得点を奪えたからだ。第3クォーター終了時点で39得点を挙げていた彼は、第4クォーター序盤にベンチで一息入れ、残り7分半でコートに戻ると11得点2アシストと爆発的なオフェンス力を見せ、粘るウィザーズを退けた。特別に気合いを入れるでもなく、強烈なインパクトのあるプレーがあるでもなく、淡々と得点を積み上げて50に乗せた。これをディアンソニー・メルトンは「静かな50得点だった」と表現した。

シクサーズにとっては3ポイントシュートがさっぱり決まらない日で、試合開始から13本連続で失敗し、試合を通じて27本中8本成功と低調。ウィザーズは35本を放って14本を決めており、ここに勝機を見いだしていたのだが、エンビードは50得点だけでなく13リバウンド7アシストでこれをねじ伏せている。

シクサーズの指揮官、ニック・ナースは相手が3ポイントシュートを狙うのが分かりきっているにもかかわらず対応の甘いディフェンスに「ウィザーズが良いチャンスを作ったというよりウチのミスだ。これが長く続くようでは困る」と頭を抱えたが、交通事故で離脱していたケリー・ウーブレイJr.が戦線復帰を果たし、ようやくメンバーが揃ったチームは、ここからディフェンスの連携も向上していくだろう。

3ポイントシュートが決まらない日に勝利をもたらしたのはフリースローだった。シクサーズはエンビードの13本を筆頭に34本を獲得し、そこから29得点を奪った。一方のウィザーズはフリースローを8本しか得ていない。そしてエンビードは、ミドルレンジからのシュートも確率良く決め、止めようがなかった。

エンビードにとって50得点はシーズンハイの数字であり、キャリアハイの59得点、次いで53得点、52得点に続くキャリアで4番目に多い得点となった。「ウチのシュートタッチは良くなかったし、相手は思い切り良く打ち切っていたから、自分にチャンスが来れば積極的にアタックしようと思った。そして同時にチームメートへのアシストも意識した」とエンビードは言う。

そして彼は、自分の活躍よりもウーブレイJr.が戻って来たことを喜んだ。「僕らにとっては大きな意味のあることだ。彼だけじゃなく他のケガ人も戻ってきて、ようやく全員が健康な状態で試合ができた。ディフェンスは確かにひどかったけど、これから良くなっていくよ。誰だって健康でプレーしたいし、ベストメンバーで戦いたい。ここからずっと全員が良いコンディションで戦えることを一番に願っているよ。自分たちの力を発揮したいんだ」

一方のウィザーズはよく粘ったが、結局は敗れて3連敗。ウィザーズより勝てていない唯一のチームであるピストンズに勝ったことを除けば、12試合続けて負けていることになる。3勝17敗はひどい成績だが、低迷するチームの中で奮闘し続けるデニ・アブディヤは1カ月前のシクサーズ戦では手も足も出ずに18点差で負けていたことを引き合いに出し、「夜と昼ぐらい違うよ。全然違う試合だった。今日の試合からポジティブな要素を取り入れて次に進みたい」と語った。