「『何よりも気にするのは勝利だけ』というタイプでもない」
今シーズンのトレードデッドラインに設定された2月7日まで、あと2週間弱に迫った。プレーオフ争いを勝ち抜くために戦力を強化したいチームと、今シーズン以降を見据えて優れた若手、もしくはドラフト指名権を欲しがる再建組の思惑が合致するかどうかで、トレードが成立するかが決まる。
トレイルブレイザーズは、ここ数年デッドラインが近づくと動きが注目されるチームの一つで、生え抜きのCJ・マッカラムを放出するかどうかに関する是非が議論されることが多い。マッカラムは、NBAがビジネスを優先させることを理解している。先週、彼は1年前にクリッパーズが生え抜きのブレイク・グリフィンをピストンズにトレードしたことについて触れ「(トレードされる)危険のない選手なんているのかな?ブレイクはセーフだった?」とコメント。マッカラムは万が一に備えて心の準備を整えているようだが、エースであるデイミアン・リラードは、現在のチームの力を信じている。
先週『The Athletic』とのインタビューを受けたリラードは、ウォリアーズのように優れたタレントを集めるチームに対抗する手段として、継続して作り上げたチーム力を挙げた。
「今のリーグを見渡してみると、タレントを集めているチームがある。選手たちも、同じチームでプレーしたがっている。そういうチームに、優勝が懸かるようなレベルで対抗するには、大きな武器が必要になる。自分たちで言えば、チームのケミストリー、プレースタイル、コーチングが大きな武器になる。自分たちはそれらに頼って、成功を収めてきた。ただ、優勝レベルの話をする時には、特にタレントレベルに優れるチームと対戦すると、厳しい戦いになってしまう。ゴールデンステイト、オクラホマシティ(サンダー)のようなチームは、選手層が厚いからね。だからこそ、トレードデッドラインが近づいても、これまで機能していた物を壊したいとは思わないはずだよ。団結力でタレント集団に勝てるかどうか、やってみたいと考えるはずさ」
ブレイザーズは、平均得点でリーグ10位(112.5)、平均失点で同14位(110.2)のスタッツながら、群雄割拠の西カンファレンスで4位につけている。ここ数年ほぼ同じメンバーで戦い続け、リラードとマッカラムへの依存度が高いことを批判され続けているものの、ケミストリーのレベルは強豪チームにも引けを取らず、地力のあるチームであることを証明し続けている。
自分の流儀を通す昔気質のリラードには、現代のトレンドであるスーパーチームに加わる考えはない。彼は自分のやり方を、こう主張した。
「俺は、何か変化を加える前に、プレーオフで全力を尽くしたい。誰かの代わりに誰かを獲得すればいいとは言わない。それは自分ではないからね。それに俺は、『自分が欲しいのは優勝リング。何よりも気にするのは勝利だけ』というタイプでもない」
「もちろん、俺だって勝ちたい。心からそう思う。この街のために優勝したい。でも、そのために誰かを犠牲にしたくない。優勝したのに悪い状況に追いやられてしまったり、所属チームから評価されなくなってリーグで1年プレーできなくなるような状況になったり、そういうキャリアを自分は送らない。単に『優勝した!』と言える結果を手にするより、誰かを犠牲にしないことの方が自分にとっては大事なんだ」
インタビュー中、リラードは、補強に関してブレイザーズGMのニール・オルシェイに意見を言ったことはないと主張した。もうじき難しい判断を下さなくてはならないオルシェイの仕事に理解を示しつつ、リラードは、ブレイザーズの力を信じている。
「チームのプレーは良いと思う。昨シーズンは、チームの状態が好転し始めた時期、自分がチームを引っ張った。でも今シーズンは違う。自分は安定したパフォーマンスをすれば良い状態だね。過去最高のプレーができているとは思うけれど、常に凄いスタッツを残してチームを引っ張らないといけない状態ではない。それが良いんだよ。どういう結果を残せるかどうか、やってみるだけさ」