2年契約にサイン「すべてはこれから証明していかなきゃいけない」
シックスマンとしてナゲッツの優勝に貢献したブルース・ブラウンは今オフにフリーエージェントとなり、ペイサーズと2年4500万ドル(約60億円)での契約を結んだ。彼はこれまでピストンズとネッツ、ナゲッツでの5シーズンで1500万ドル(約20億円)の年俸しかもらっていなかったが、優勝したタイミングでフリーエージェントになったことで大型契約を勝ち取った。
いくら優秀でも、ロールプレーヤーのブラウンには破格すぎる契約にも思えるが、これには理由がある。NBAの新たな契約ルールではサラリーキャップの制約が厳しくなるが、これは上限だけでなく下限にも言える。選手に支払う年俸の総額がサラリーキャップの90%を下回ったチームは、ラグジュアリータックスの分配金を受け取る資格を失う。
この金額を下回っていたペイサーズは、条件をクリアするためにブラウンにわざと高額のオファーを出した。フリーエージェント市場で欲しかった選手であることはもちろんだが、他のチームで不良債権と化した選手の契約を引き受けるのをリスクと考え、それよりもブラウンに支払うことを選択した。
2年契約の2年目はチームオプションで、ブラウンが機能しなければペイサーズは契約を破棄できる。その場合にはサラリーキャップに余裕が生まれ、来年またフリーエージェント市場に打って出ることができる。NBAの選手契約ルールを上手く活用してのブラウン獲得となったが、ペイサーズが第一に臨んでいるのはブラウンがフィットし、チームをプレーオフでも勝てるレベルに引き上げることだ。
当然、良い契約を得られたブラウンは幸せな気分でいる。ペイサーズの入団会見に臨んだ彼は「5年前にNBAに初めて来た時に、こんな日が来るなんて想像もできなかった。ただただ感謝しているよ」と語る。
ナゲッツで優勝を決めた直後、ブラウンは残留を望んでいると語ったが、アーリーバード権のないナゲッツが提示できるのは最大でも780万ドル(約10億円)で、他とは開きがありすぎた。ブラウンによれば、ニックスと数チームが彼の獲得に動いていたそうだ。
「決断は難しくなかった。ペイサーズは僕が今オフの補強ターゲットのNo.1だと言ってくれたからね」とブラウンは言う。さらなる後押しとなったのは、タイリース・ハリバートンの誘いだ。「彼とは電話で話した。トランジションを重視する若いチームで、君なら攻撃でも守備でも完璧に機能すると言われたよ」
「良い選手は揃っていると思う。だけど、すべてはこれから証明していかなきゃいけない。僕としては、いろんな形で試合に影響を与えたいと思っている。毎試合で得点できるとは限らないけど、クラッチリバウンドを取ったり、クラッチフリースローを決めたり、小さなことを積み重ねていくだけだ」
この会見が行われたのは現地7月6日。会見に同席したヘッドコーチのリック・カーライルによれば、前日に現地入りしたブラウンは、翌朝に練習場を使えるかと質問してきたそうだ。ブラウンが希望したのは朝6時半。ペイサーズの選手たちもこれを聞きつけ、ブラウンはインディアナでの最初の朝を、新たなチームメートとのワークアウトに費やしたそうだ。ペイサーズには良い文化ができつつあり、ブラウンはそれをより強いものにできる。ハリバートンの契約延長も含め、ペイサーズには良い風が吹いている。