7人が2桁得点を記録「誰か一人が倒れても、最高のレベルで戦い続けられる」
バックスはファーストラウンド初戦からアクシデントに見舞われた。ヤニス・アデトクンボがシュートを狙った際に相手と接触してバランスを崩し、かなりの高さから腰をフロアに打ち付けた。プレーを続けようとするも痛みが激しく、わずか11分のプレーに留まり、エースを欠いたバックスは、ヒートの勢いに押されて初戦を117-130で落としている。
現地4月19日の第2戦も、ギリギリまで判断を待ったがアデトクンボ抜きで戦うことに。ホームで連敗スタートとなればファーストラウンド敗退の危機となるが、ここで残った選手たちが奮起を見せた。
事実上、勝負は前半で決した。21本中12本の3ポイントシュートを決め、フィールドゴール成功率は60%を記録。リバウンドでは28-16、アシストで19-8と大差を付けた。前半を終えて81-55、第3クォーター終了時点で118-85という圧勝劇で、シリーズを1勝1敗としている。
ブルック・ロペスの25得点、ドリュー・ホリデーの24得点を皮切りにスタメン全員が13得点以上を記録。ホリデーは言う。「ヤニスはスーパーマンばりの努力をしてコートに立ち、48分間プレーして自分の仕事をやろうとするだろう。でも、ヤニスが戻って来るまで僕たちで砦を守ることはできる」
普段はベンチからチームにエネルギーをもたらすボビー・ポーティスはアデトクンボに代わってスタメンとなり、ディフェンスとリバウンドで奮闘して15リバウンド1スティール2ブロックを記録した。彼は自分が先発することをあらかじめ知らされていたわけではないと明かしたが、100%集中した状態で試合に入り、チームに流れを呼び込んだ。シックスマン賞にノミネートされていたが、結果はマルコム・ブログドン、イマニュエル・クイックリーに続く3位に。それでもポーティスは、先発もベンチも関係なく、常にチームのためにベストを尽くす貴重な戦力であることをこの試合で示している。
ポーティスが先発に回った分、ベンチメンバーの力は落ちることになるが、この試合ではベンチから出場したパット・カナートンが22得点を、さらにはジョー・イングルスが17得点を記録して、どの時間帯でも力を落とすことなく、ヒートに反撃のきっかけを与えなかった。
カナートンは初戦では出場機会がなかったが、この試合では25分プレーしている。「良い感覚でプレーできたよ」とカナートンは言う。「今のNBAではシューターだったりディフェンダーだったり、選手を何かの枠にはめようとするけど、僕はいろんなプレーで試合に影響を与え、チームの役に立ちたい。それに僕はこの時期が大好きなんだ。ミルウォーキーに来てからここまで、いつもこの時期には良いプレーができているからね」
7人が2桁得点を記録するチームバスケで勝利したことをクリス・ミドルトンは喜び、「このやり方で勝ちたかった」と語る。「ヤニスが試合に出られないとなって、多くの人がドリューや僕がその役割を引き受けることを期待しただろうけど、ヤニスの仕事をするのは荷が重すぎるよ。だから全員で少しずつ彼の役割をこなさなきゃならない。それがチームだってことなんだ。ウチには世界最高の選手がいるけど、その周囲で支える選手たちも最高のレベルで、つまりは最高のチームだと思っているんだ。今日の勝ちは僕たちに自信を与えてくれる。誰か一人が倒れても、最高のレベルで戦い続けられるんだ」