ザイオン離脱後は7勝15敗、プレーオフのストレートイン圏内から脱落
ペリカンズにとってザイオン・ウイリアムソンは『宝物』であり『悪夢』でもある。年明け早々にハムストリングを痛めた彼の戦線離脱は長引いており、オールスターブレイクの後にも数週間は欠場する見込みだとクラブは発表した。
NBAデビューシーズンからケガばかりが続くザイオンだが、今シーズンは開幕からエンジン全開で、26.0得点、7.0リバウンドを記録。屈強なフィジカルと運動能力を駆使するそのプレーは圧巻で、チームメートのCJ・マッカラムは「何をしようとするのか分かっていても止められない。だからディフェンスは強引に止めに来るんだけど、それでも彼は止められない。僕は多くの選手を見てきたけど、これほど動けてハンドリングが良くて正しいプレーを選択する選手は見たことがない」と評している。
しかし、またしても彼の進撃はケガに止められた。ファン投票でスターターに選ばれたNBAオールスターも欠場することに。ペリカンズはザイオンが元気なうちは23勝13敗で激戦の西カンファレンスで上位に食い込んでいたが、ザイオン離脱後は7勝15敗でプレーオフのストレートイン圏内から脱落した。
ザイオンの唯一の泣きどころはケガが多いこと。さらに悪いのはルーキーシーズンは膝、昨シーズンは足、今はハムストリングと、毎シーズン違うどこかを痛め、そして毎回ケガによる離脱期間が長引くことだ。今回も1月下旬に「あと2週間で復帰の見込み」と発表されたが、そこから大幅に遅れることになる。
「常人離れしたパフォーマンスに身体が付いていけずにケガをする」のかもしれない。これが本当なのだとしたら、彼が健康を保ってコンスタントに試合に出続けるには、爆発的な加速とバネのある動きを封印するプレースタイルへの変更が必要なのかもしれない。
ボールさばきは上手いが機敏には動かない重量級センターになるか、あるいは膝や足首への負担を減らすべく体重を落としてパワーを犠牲にするか。そのどちらになるとしても、ザイオンの『誰にも似ていない』という絶対的な魅力は消えてしまうことになる。かと言って、この4年間から抜本的にやり方を変えない限り、彼は常に大きなケガのリスクを抱えながらプレーすることになる。
昨シーズンはザイオンが全休したにもかかわらず、プレーイン・トーナメントを勝ち抜いてプレーオフへと進んだ。ブランドン・イングラムとCJ・マッカラムがリーダーとしてチームを引っ張った形だが、ザイオン抜きのペリカンズではそれが限界だろう。ザイオンの長期離脱という『悪夢』から、ペリカンズはどうすれば抜け出せるのだろうか?