第4クォーター最後のプレー、レイアップを止めたファウルがノーコール
レブロン・ジェームズは激怒した。必ず、ファウルされていた確信があったからだ。
TDガーデンでのセルティックス戦、第4クォーター残り18秒でパトリック・ベバリーが、八村塁に気を取られたセルティックス守備の間隙を縫ってリムに飛び込み、アンソニー・デイビスのシュートがこぼれたところをプットバックダンクで押し込んでレイカーズが勝ち越す。その後にジェイレン・ブラウンのバスケット・カウントで追い付かれたが、レイカーズは残り4秒の攻めをレブロンに託した。
ベバリーのダンクの時に大喜びしていたレブロンは、今度は自分の番だとばかりにスピードを上げてリムを攻める。ディフェンス4人の間を割ったレブロンは左手でレイアップに。しかし、腕が伸びきる直前にジェイソン・テイタムに背後から叩かれた。
もうクロックは残っておらず、フリースローを決めればレイカーズの勝利となる場面だったが、笛は鳴らない。アピールしてもファウルが取られないと知った彼は跳び上がり、頭を抱え、コートに突っ伏した。
NBAのルール上、映像での確認は行われない場面であり、試合はこのまま105-105で延長戦へ。オーバータイムではベバリーが先の判定への抗議からカメラマンのカメラを審判に突き付けてテクニカルを食らうなど、冷静さを欠いたレイカーズは最終スコア121-125で敗れた。ラストポゼッションでレブロンはコートに出ず、タオルを頭からかぶってベンチに座ったまま。試合が終わると憤怒の表情で、一目散にロッカールームへと戻った。
すべてが一瞬の出来事であり、レブロンの圧倒的なスピードを目で追って正確なジャッジを下すのは簡単ではない。しかし、映像を見ればファウルだったのは明らかで、チーフオフィシャルも試合後に「接触があった」と認めている。これに対して指揮官ダービン・ハムは「見たくない。誰の得にもならないレポートだ」と吐き捨てている。
アンソニー・デイビスは「勝利を騙し取られたようなものだ」と言い、「オーバータイムではミスジャッジから意識が切り替えられなかった。だけど、オーバータイムになる試合じゃなかった」と続けた。
最も怒りを感じていたのは、もちろんレブロンだ。「僕のリアクションを見ただろう?」と固い表情で彼は言う。「僕はペイントエリアをアタックしている。他の多くの選手が2桁のフリースローを得ているのに、僕がそうならないのは理解できない。これまでミスジャッジで負けた試合がいくつあっただろうか。嫌になるよ。僕はすべての試合をチェックしてるけど、こんなミスはそう起こるものじゃない」
リーグに正式に抗議をするつもりはあるかと問われると「興味はない。僕らの思うようにはならないよ」と一蹴した。
レブロンは44分のプレーで41得点9リバウンド8アシストを記録。1月に入って12試合に出場して34.3得点、9.3リバウンド、8.0アシストと驚異的なパフォーマンスを続けているが、思うように勝ちに繋がらない。その状況で明らかなミスジャッジで負けるのだから、気持ちが折れてもおかしくない。カリーム・アブドゥル・ジャバーが持つNBA通算得点記録(3万9397得点)を抜くのは時間の問題だが、自分のテンションを自分で奮い立たせなければいけない苦境にある。
なお八村塁はレイカーズ加入2試合目で24分の出場。6得点4リバウンド1アシストの数字を残している。