第3クォーター途中、最大24点のビハインドをはねのける
今シーズンのペリカンズはザイオン・ウイリアムソンが万全のコンディションでプレーしているだけでなく、その周囲を固める選手もそれぞれ持ち味を発揮し、これまでの『爆発力はあれど安定しないチーム』とは違い、優勝争いに絡んでくる実力を見せている。昨シーズンのプレーオフファーストラウンドで、サンズはこのペリカンズを余裕を持って撃破したが、だからこそ今この相手がいかに軽視できない相手かを理解している。
12月9日と11日の対戦では連敗を喫した。今シーズンのプレーオフでも当たる可能性を考えると、ここで負けると相手が勢い付き、サンズは苦手意識を抱えかねない。そんな12月17日の対戦でデビン・ブッカーが58得点と大暴れ。ディアンドレ・エイトン、キャメロン・ペイン、キャメロン・ジョンソン、デュアン・ワシントンJr.とケガ人を多く抱えながらも、ザイオンが30得点、CJ・マッカラムが27得点を挙げたペリカンズを118-114で上回った。
前半はペリカンズが優勢で、マッカラムの24得点を筆頭にフィールドゴール成功率が56.5%、3ポイントシュート成功率が46.7%とペリカンズのシュートタッチの良さが目立った。46-63と17点ビハインドで迎えた後半も流れは変わらず、開始5分で点差は24にまで広がった。
この後にサンズがクリス・ポールを中心に3ポイントシュート攻勢で11まで点差を詰め、ペリカンズがしばらくベンチで休ませていたザイオンをコートに戻したところで、ブッカーの得点力が爆発する。第3クォーター残り4分から第4クォーター残り7分43秒まで、サンズの25得点すべてをブッカーが記録。これで1点差まで猛追し、ジョシュ・オコーギーのフリースローで、久々にブッカー以外の得点がサンズに入って99-99に追い付いた。
前半は6得点だったザイオンが後半は24得点とギアを上げるが、ブッカーがダブルチームを引き付けてアシストでもオフェンスを動かすサンズが勢いで上回り、大逆転勝利を収めた。
殊勲のブッカーは「今日勝つのは大事だった。先週の2試合を落としていて、プレーオフで対戦する可能性があるのも分かっていたから、雰囲気を変えたかった」と語る。
ブッカーにとって58得点はキャリアで3番目に多い得点で、50得点超えはこれで5度目。それでも最近はケガの影響で11日のペリカンズ戦を含む何試合かは欠場していたし、直近の4試合では平均14.0得点、フィールドゴール成功率30.4%と調子を崩していた。だが、そういう時にこそブッカーの爆発はやって来る。この試合ではフィールドゴール35本中21本成功と、打ちに打ちまって自分の役割を果たした。
「そう、僕はただ打っていただけなんだ。このところは少しスランプに陥っていたけど、正しいシチュエーションに自分を置き、正しいプレーをすることを心掛けた」
ブッカーの自信は他の選手へと伝播し、最終的に24点ビハインドからの逆転勝利に繋がった。これについてブッカーは「そう言ってもらえるとうれしい。僕らはお互いにエネルギーを送り合っているからね」と、自分がチームメートに良い影響を与えたことを喜ぶ。
サンズとペリカンズはこれで2勝2敗、早くもレギュラーシーズンの対戦をすべて消化し、次に当たるとすればプレーオフとなる。昨シーズンはファーストラウンドだったが、この調子だと顔合わせはさらに先のラウンドだ。ライバルとの厳しい勝負をブッカーは楽しんだし、来たるべき次の対戦も楽しみにしている。「だって、それが僕らが試合をする理由だからね。僕らがNBAにいる理由は、世界最高のレベルで競うためだ。世界が見たこともないような才能と自分の才能を毎日のように戦わせることは、すごく名誉なことだと思うよ」