「昨日の試合のMVPは彼だと思います」と、河村勇輝を絶賛
アジアカップ2022の初戦となるカザフスタン戦、最も多くの注目を集めたのは渡邊雄太だった。東京五輪終了後に発足したトム・ホーバス体制では初の代表ゲームとなった渡邊は、大会直前での合流にもかかわらず21得点8リバウンド3ブロックを記録。その圧倒的な存在感で数字以上のインパクトを残し、100-68の圧勝へと日本を導いた。
最終的には大差をつけたが、立ち上がりの日本は動きが悪くカザフスタンのペースで試合が進んだ。ここで渡邊が豪快なブロックなど攻守でチームを牽引し、突き放されずに済んだことが非常に大きかった。そして、リズムが悪い中でも我慢強くプレーできたところに、渡邊はこのチームの伸び代を感じたと語る。
「大会初戦の入りはいつも難しいです。僕自身も長い時間プレーする試合は久しぶりだったので、最初から良いリズムで行きたいと思っていましたが、ちょっとチームとして全体的に硬さが出てしまった部分がありました。ただ、前半は本当に相手のシュートがすごく良く決まっていて、それでもみんな集中を切らさずにプレーしました。前半のしんどい場面を乗り切れたのが後半の爆発に繋がりました。チームとして可能性を感じた試合でした」
そして、これまでと同じく抜群のリーダーシップでコート内だけでなく、コート外でもチームを引っ張る彼は、45-48とリードを許して迎えたハーフタイムでこうチームメートに伝えたと明かす。「前半が終わった後、コーチたちがロッカールームに入ってくる前に『正直あのゲーム内容でたった3点差で折り返せたのはすごくラッキーなこと。ある意味ポジティブにとらえよう』と、みんなに伝えました。もう少し守備の強度を上げる必要はあると感じていましたが、そこであまりパニックになる必要はない。後半に自分たちの流れが来るだろうと思っていました」
この試合は河村勇輝や富永啓生といった若手の躍動も目立った。渡邊は初めて一緒にプレーした河村について「彼の視野の広さ、パスセンスは練習からすごいことはわかっていました」と、非凡なアシスト能力を絶賛した。「特に僕がゴール下でフリーになった時、彼がすかさず鋭いパスを出してダンクを決めた場面は、彼のパスセンスが光ったシーンでした。ベンチから出てきて、ああいうパスで味方を生かしてくれる。昨日は守備からも流れを引き寄せくれました。昨日の試合のMVPは彼だと思います」
そして「彼の3ポイントシュートは今の日本代表の大きな武器になっています。勝ち進んでいくために彼のシュート力は必要です」と、富永の長距離砲を頼りにしている。「チーム全体としても彼が打てば入るという雰囲気がある中、昨日は第3クォーターに3ポイントシュートを3本決めてくれました。彼が外から決めることで中も空いて、良い展開でバスケができるので、大きな3本でした」
最後に渡邊は明日のシリア戦に向けて、このように意気込みを語った。「ランキングは日本が上ですが、すごく力があるチームで簡単に勝てる相手ではないです。昨日は入りが良くなかったので、最初から良い守備をして、速い展開に持ち込み、しっかり良いシュートを打つバスケをやっていきたい」
この日本の目指すバスケットボールを遂行するためには、最初から渡邊のエナジー全開のプレーが不可欠であることは間違いない。