文・写真=鈴木栄一

千葉が先行し川崎が追う展開、辻にアクシデント

1月27日、千葉ジェッツが敵地とどろきアリーナで川崎ブレイブサンダースと対戦。前日の第1戦とは真逆の、第3クォーター終了時点で大差をつけた千葉が、第4クォーターに川崎の激しい追い上げに遭うも88-85で逃げ切り、前日の雪辱を果たした。

千葉は第1クォーターで15点リードを許した前日の反省を生かし、この試合では序盤から激しい強度の高いディフェンスを披露。第1クォーター残り約4分で18-11と先行する。だが、川崎もここからジョシュ・デービスのインサイド、辻直人の3ポイントシュートで2点差まで迫った。

しかし、辻はこの3ポイントシュートを決めたプレーを最後にコートを去ることに。シュートブロックに行った千葉の原修太の左足が辻の足元に入ったことで、着地した際に足をひねって負傷したのだ。これがノーファウルとなり、さらに倒れている辻に気付かない審判がゲームを止めない。それを受けて篠山竜青が試合を止めたのだが、そのプレーがアンスポーツマンライクファウルに。川崎にとっては受け入れがたい判定が2つ続いたことで約4000人と大入りのとどろきアリーナは騒然となる。辻はこのプレーで足を引きずりながら途中退場し、ベンチにも戻ることなくすぐにロッカールームへと下がっている。

前日は21得点、この試合もこの時点で3ポイントシュート2本成功と好調な辻の離脱は川崎にとって大きな痛手だが、ここで川崎は「今日は谷口(光貴)ですね。非常に気持ちを強く持ってつないでくれた」と北卓也ヘッドコーチも評価したようにベンチメンバーが奮起。その谷口はシーズンハイの10得点を記録。前半は千葉の42-40と互角の展開で前半を終える。

最終クォーター、大声援を受けた川崎が怒涛の猛追

第3クォーターに入ると、千葉は激しいプレッシャーディフェンスから川崎のターンオーバーを誘発、タフショットも何度も打たせる得意のトランジションオフェンスが爆発。怒涛の27連続得点を含む33-8とこの10分間を圧倒。75-48と大差をつけて第4クォーターを迎える。

この時点で勝敗は決したかに思われたが、第4クォーターに入ると川崎は開き直りから積極性が戻り、千葉は大量リードからか集中力が途切れがちとなり、川崎が猛追。「第4クォーターの追い上げはファンの皆さんの声援があったこそで、皆さんに感謝しています。とにかく声援については感動しましたし、ありがたいという思いです」と篠山が語るように、観客の大声援を力に徐々に点差と縮めると、残り30秒で3点差まで迫る。

そして残り14秒、川崎はニック・ファジーカスが同点となる3ポイントシュートを決めたかと思われたが痛恨のラインクロスによるターンオーバー。その後、相手ボールをスティール、さらにオフェンスリバウンド奪取により残り3秒、1秒とそれぞれファジーカスが3ポイントシュートを放つも惜しくも決まらず。千葉が辛うじて逃げ切った。

千葉の大野篤史ヘッドコーチは、「スタートからディフェンスのインテンシティレベルが高かったです。そして第3クォーターでマインドセットして、トラップディフェンスからトランジションオフェンスにつながった」と勝因を語る。

だた、一方で第4クォーターにあわやの危機を迎えたことには「第3クォーターでゲームが終わったかのような第4クォーターの入り方をしてしまった。ターンオーバーから点数を取られたから、取り返してやろうというマインドでは、今日は勝ちを拾えましたけど、これから拾っていくことはできません」と、守備で我慢する戦いを40分通せなかったことを課題に挙げた。

勝った千葉にも課題、小野「もっと余裕を持って」

また、第4クォーターの失速については、13得点8アシストと攻撃の起点として活躍した小野龍猛も「第3クォーターまでは申し分なく、何も言うことないです。ただ、第4クォーターは走っていない。点を決められてディフェンスもしていない。昨日の第1クォーターのような悪いところが出てしまいました」と反省の弁。

追い上げられた時間帯のメンタル、ゲーム運びについても課題だと小野は言う。「勝っているので慌てる必要がないのに、煽られてさも逆転されたかのようになっていました。もっと余裕を持てば良かったです。そういうプレーができるIQが高い選手がもっとチームを牽引していかないといけないです」

勝ったものの、後味の悪い終わり方となってしまった千葉。敗れたが、見事な追い上げで意地を見せた川崎。ともに収穫と課題を得て1勝1敗と、実力伯仲の上位対決で2連勝することの難しさがあらためて示された熱狂の2日間だった。