イマン・シャンパート

ラップミュージシャンの一面も、ダンスでの成功に寄与

イマン・シャンパートが2016年のキャバリアーズでのNBA優勝に続き、5年ぶりに全米制覇を成し遂げた。と言っても、これはバスケの話ではない。アメリカで人気のテレビ番組、『Dancing with the Stars』での優勝だ。この番組は、有名人とプロダンサーがペアを組んでダンスを披露し、審査員と視聴者の投票によるコンテスト形式で最下位のペアが脱落し、最後まで残ったペアが優勝するリアリティ・ショー。出場するのは俳優からラジオMC、ミュージシャンなど様々で、スポーツではフィギュアスケートにスピードスケート、アメリカンフットボール、体操の元プレーヤーが優勝したことがある。

シャンパートは2011年のNBAドラフトで17位指名を受けてニックスでNBAデビュー。キャバリアーズではレブロン・ジェームズとともにプレーし、主にベンチから出る『3&D』としてチームを支えた。それでもチームが世代交代の時期を迎えた2017-18シーズン途中にキングスにトレードされた後は活躍の場を失い、直近の2シーズンはネッツでわずかな試合に出場しただけだった。

196cmのシャンパートのスタイルは舞台で見映えがする。パートナーのダニエラ・カラガチを抱きかかえ、持ち上げ、時には振り回すダイナミックなパフォーマンスは、プロアスリートの鍛えられた力があってこそ。さらに下半身の動き、ステップの鋭さはダンスの素人とは思えないものだった。そしてダニエラとの息の合った連携も見事だった。

シャンパートの優勝にはレブロンも一役買ったと見られている。番組が進む中でシャンパートが審査員の採点で40点満点を取った際に、レブロンは称賛のツィートを送った。これで番組に興味のないバスケファン、スポーツファンがシャンパートに注目し、応援に回ったという面がある。

決勝の相手は18歳のセレブyoutuberのジョジョ・シワで、名だたるインフルエンサーが応援していた。評価には視聴者の投票も加わる。番組の途中でシャンパートは、「多分、僕の娘も彼女に投票している」とも発言しており、この面で不利は明らかだった。それだけに、レブロンという援軍はキャブズの時と同じぐらい心強かったに違いない。

シャンパートの活躍には下地があった。もともと彼はNBAプレーヤーであると同時にラップミュージシャンとして活動しており、妻は歌手やダンサーとして活動するテヤナ・テイラーだ。

優勝を決めた直後にテレビのトークショー番組に出演したシャンパートは「妻にもアドバイスはもらったけど、ダニエラはもちろん、他にも多くの人にサポートしてもらった。練習は本当に大変なものだったし、新しいステップを覚えるのは難しかった。いつも両肩に天使と悪魔がいて、天使は『悪くないけど、もう一回だ』と言い、悪魔は『完璧だ、もう舞台に立てる』と言う。その狭間で苦しんだよ」とシャンパートは言う。

また番組内で「君のように踊れるNBA選手はいるだろうか?」との問われたシャンパートは、「僕の知る中だと、カイリー・アービングやカーメロ・アンソニーはフットワークが良いよ」と答えている。シャンパートのパフォーマンスに魅せられて、彼に続く者が現れるかもしれない。

https://youtu.be/ZzQWzYWjhmE