『福岡決戦』に懸ける思い「福岡で一番になれないと意味がない」
ウインターカップの福岡県予選決勝、福岡大学附属大濠は福岡第一との大一番を60-69で落とした。
序盤からシュートタッチが芳しくない大濠は先手を取られ、第2クォーター途中には15点ものビハインドを背負った。ゲームキャプテンを務める岩下准平は「いつも入っているシュートが入らなかったことで、最初に流れを持ってこれなかった」と、序盤の苦戦を振り返った。それでも、岩下が連続で3ポイントシュートを沈めたことで息を吹き返した大濠は前半を2点差で終え、接戦に持ち込んだ。
この日の大濠は最後までシュートに当たりが来ず、なかなかリズムに乗れなかった。何度迫ってもここ一本のシュートが決まらなかったことで、最後まで逆転のチャンスが訪れぬまま敗れることになった。岩下は「スコアの部分。チームの共通認識の部分で一つになれていなかったことが、詰めても逆転にまでいけなかった要因だと思います。もう一踏ん張りというところが甘かったです」と語る。
いくら良いシューターであっても、入らない時はとことん入らず、だからこそシュートは水物と言われる。岩下も決してシュートタッチが良かったわけではないが、最後まで果敢にアタックした。それは攻め気を失うなという、チームメートへのメッセージのように映った。岩下は言う。
「スタメンの(針間)大知とか湧川(颯斗)が得点源で、もしそこが入らなかった時に自分がピックを上手く使ってシュートを決めるとやってきました。シューターも今日は当たらなかったですし、全体的に気持ちの部分で落ちてしまっていて、チームのみんなができない時に自分がエースガードとしてしっかり得点しないととは思っていました」
60点と得点が伸び悩んだことが敗因となった。だが岩下は、そういう時こそディフェンスでの我慢が必要だったとも言う。「ディフェンスは調子に左右されず、いつでもできることです。シュートが入らない時にディフェンスを頑張らないと、自分たちの流れを持ってこれないですし、もうひと踏ん張りできませんでした」
また、岩下は何があっても動じずに行動する対応力の必要性を実感した。「第一はピックの攻めが多いのでアンダーの練習をしていました。遠いところからの3ポイントシュートだったり、タフショットを打たせてリバウンドを取る作戦でしたが、そこが入ったので試合中にアジャストしないといけないと思いました。ウインターカップは負けたら終わりですし、予想外なこともあるので、守り方や攻め方を試合の中で考えないといけません」
決勝に進出した時点でウインターカップの出場権は確保した。そのため、決勝戦はシード権を得るための戦いでもあった。だが、両校にとって『福岡決戦』は、理屈では説明できない、唯一無二の試合だ。だからこそ岩下も「福岡で一番になれないと意味がない」と、悔しさをにじませた。
「残り2カ月、チーム一丸となって日本一を目指して頑張ります」。2年前のウインターカップ決勝で実現した『福岡決戦』の再現を、岩下は虎視眈々と狙っている。