アルバルク東京

値千金、ロシターのスティールからの得点で辛勝

アルバルク東京が10月27日、ホームで新潟アルビレックスBBと対戦。序盤から劣勢が続く苦しい展開となったが、土壇場でビッグプレーを連発する底力を発揮し、79-78の劇的勝利を飾った。

試合の出だし、A東京はディフェンスの乱れからロスコ・アレンに連続ファストブレイクを許すなど8-15と先行される。その後、オフェンスリバウンドからの分厚い攻めで盛り返し18−19と追い上げて第1クォーターを終了する。

第2クォーターに入ると、A東京は相手ビッグマンがアウトサイドをカバーしきれない隙をついて、アレックス・カークが得意の外角シュートを沈めて25-19と逆転に成功する。だが、新潟のコービー・パラス、アレンらの1対1を止めることができず、36-40と再逆転を許し前半を終えた。

後半に入ってもA東京は、指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチが「ディフェンスに関してセットオフェンスは守れましたが、我々のオフェンスがシュートで終われずに、ターンオーバーから走られるケースがかなりありました。同時に最後の1対1のディフェンスを止められず、その後で相手にオフェンスリバウンドを取られていました」と振り返ったように、苦しい展開が続く。

第3クォーター以降は終始、新潟のペースで試合が進み第4クォーター残り4分半の時点で10点のリードを許してしまう。しかし、A東京はここから田中大貴の連続得点で反撃を開始すると、残り2分17秒には、カークの3ポイントシュート成功で1点差に詰め寄った。

その後、アレンにタフショットを決められ残り36秒で3点リードを許すが、直後にロシターがオフェンスリバウンドから押し込み1点差。そして、次のポゼッションでは敵陣から激しくプレスをかけ、ボールを運ぼうとしたアレンからロシターが値千金のスティールを奪い、そのまま逆転のレイアップ成功させた。残り20秒でひっくり返すと、新潟のラストオフェンスを止めて激闘を制した。

新潟アルビレックスBB

勝ち切れない新潟「メンタルのタフさ、バスケットボールIQが必要」

A東京のルカヘッドコーチは「今日のディフェンスに関して、我々らしくない時間が多かった」と守備の課題が多く残ったと振り返ったが、同時にここ一番の勝負強さについては選手たちを称えている。「本当に最後まであきらめずに踏ん張った結果、タフな試合に勝つことができました。最後の2分はしっかり守れました。そしてカーク選手の3ポイントシュート、その後オフェンスリバウンドで繋ぎ、ロシター選手のスティールとビックプレーが出ました」

一方、痛恨の逆転負けを喫した新潟の平岡富士貴ヘッドコーチはこう振り返る。「アウェーの中、選手たちは最後まであきらめることなく戦ってくれましたが、ここ数試合と同じでクロスゲームを落としてしまう悪い流れが続いています。ゲームの終わり方でメンタルのタフさ、良い判断をするバスケットボールIQが必要でそこを修正していかないと勝つチャンスが少ないです」

指揮官が言及するように新潟はこれで6連敗となったが、今回を含め4試合が3点差以内の敗北と、接戦で勝ちきれない。最後にアレンがロシターにボールを奪われるミスを犯したのに加え、残り2分をきってから、A東京の見事なプレッシャーがあったにせよ、2回連続で納見悠仁がシュートを打つことすらできずに24秒バイオレーションと、ここ一番でミスが出てしまったのは悔やまれる。

この、あと一歩の差を乗り越えるのに平岡ヘッドコーチがステップアップを期待する1人がパラスだ。この試合も13得点を稼いでいるが、第4クォーターは6分42秒の出場でシュートを1本も打てていない。まだ、コンディション面で本調子でないことを理解しつつ、それでもパラスが非凡な才能を持っているからこそヘッドコーチはこのように語る。「今日も比較的良いパフォーマンスだったと思いますが、どうしても体力の消耗が早く、ディフェンスの強度はまだまだです。最後、ボールに絡みにいかずにコーナーでずっと待っている姿を見ると、ああいうところで彼がアタックできるようになってくるともっと良い選手になれます」

苦しい展開を乗り越え連敗を土壇場で阻止したA東京に対し、前の試合に続き競り負けてしまった新潟と、ここ一番での勝負強さの差が大きく出た一戦となった。