「何ができるかが分かってきたので、次はそれをどう組み合わせて連携させるか」
島根スサノオマジックはオフシーズンに、日本代表の金丸晃輔、アルバルク東京で連覇を成し遂げた正ポイントガードの安藤誓哉、オーストラリア代表として東京オリンピックで銅メダル獲得に貢献したニック・ケイをロスターに加える大型補強を行なった。
しかし、主力の多くが新加入の選手とあって、ケミストリーの構築には時間がかかる。10月23日、24日の横浜ビー・コルセアーズ戦は1勝1敗で終えた。勝利した第2戦の前半にしても、横浜のハードなディフェンスに苦戦しボールが止まり、個で打開するシーンが目立った。安藤は「個の力を出しつつも、やはりチームとして連携を取っていかないと、連勝だったり、強いチームに勝ち切るのは難しくなってくると思います」と言う。
それでも試合を重ねることで課題が明確になるのは、新チームにとっては良い兆しだ。「チームとしてはいろいろと課題が見つかってきて成長している中で、やっぱり個人個人が何をしようかなって、まだ悩んでいる選手もいると思います。正直な話をすると、これから連携が取れてくれば、もっとすごいものができるんじゃないかなという感じです」と、安藤は前向きな表情で語り、こう続けた。
「今シーズンはもともとチームにいた選手も多いですが、僕たちは違うところから集まってきましたし、ヘッドコーチも代わりました。その中で、自分が今ここで何ができるのかなというのをまずはしっかりと理解して、その上でどうやってチームメート同士で連携していくのかが本当に大事になってきます。そのためにも、普段の練習からもっとコミュニケーションを取っていくようにしたいです」
「僕たちもワクワクしながらやっています」
ポール・ヘナレヘッドコーチは、チームのケミストリーについて「比べようがないので難しいが、今の段階ではOKと言えます」と語った。「徐々に良くなってきて、固まってきている部分はあります。ただ、コート上ではまだまだそれを引き出すことに手間取っていたりして、完璧とは程遠いので時間はかかります。コート上でのケミストリーはまだ課題が多いし、満足には到達していないが、ポテンシャルはあると思います」
横浜戦でもチームが噛み合っている時間帯はディフェンスからの速いバスケットを展開し、持ち前のオフェンス力を生かすことができた。安藤は今までの経験を踏まえて「強いチームにはウイニングポイントがある」と言い、ポイントガードとして意識している部分を語った。
「ゲームは40分あって、『ここで誰が攻める』とか、『この感じだとこの選手だな』とか。強いチームにはウイニングポイントが結構あるんですが、そういうのがまだできていないというか。『ここはコイツ』、『こっちはお前だ』とか、そういうのは阿吽の呼吸で分かってくるので、そういうところを意識していきたいです。もちろん、今日の試合で勝ち切ったことはうれしいですが、連携の部分はやっぱりまだまだだなと思います」
もちろん、勝利した後の会見ということもあるが、安藤の表情からは新天地でのバスケットを楽しんでいることが伝わってきた。大型補強をし、周囲からの期待も高まっている中で、「周りから期待されているのも分かりますし、もちろん僕たちもワクワクしながらやっています」と言う。それでも「やっぱりそんなに甘くはないと思っています」と安藤は続けた。「これからもいろいろな壁があると思いますけど、ベストを尽くして、やれるだけやりたいなという気持ちで今はいます」
まだまだ課題も多いチームではあるが、安藤が「これから連携が取れてくれば、もっとすごいものができるんじゃないかな」と語ったように、試合を重ねることでどんなチームへと変貌していくのか楽しみだ。
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