ジョエル・エンビード

トバイアス・ハリス「彼が苦しんでいるのなら、支えてあげなければ 」

セブンティシクサーズは、今年のオフからベン・シモンズを取り巻く問題に対応し続けてきた。

発端は、昨シーズンのプレーオフで戦犯扱いされたことに激怒したシモンズが、球団との信頼関係を維持できずトレードを要求したことだ。トレードの噂がいくつか浮上するもまとまらず、その間シクサーズは態度を硬化させていたシモンズを説得するために手を尽くしたものの、彼はトレーニングキャンプが始まってもチームに合流しなかった。

球団とシモンズ側は話し合いを続け、ようやくチーム合流となったが、シモンズの気持ちの整理は全くついていなかった。練習中の態度がチームメートに悪影響を及ぼすとして指揮官のドック・リバースから退出するよう命じられ、球団からは出場停止処分も科された。そして現地22日、シモンズはメンタル面の不調を訴え、プレーする準備が整っていないと球団、チームメートに伝えた。

これにより、シクサーズはシモンズを欠く状態でレギュラーシーズンを戦わなければならない。シモンズ復帰の目処は立っておらず、このまま長期欠場がとなる可能性もある。

エースであるジョエル・エンビードは、ネッツとのホーム開幕戦前にマイクを握り、ファンにシモンズを支援するよう訴えた。「ここ数カ月でいろんなことがあった。それでも僕たちを、そして自分たちのチームメートであり、兄弟のような存在であるベンをサポートしてもらいたい」

エンビードは、シモンズの離脱についてメディアから聞かれると「ようやく第一歩を踏んだ感じ」と答えた。「問題を解決するのはフロントの仕事。これはビジネスなので、チームにとって最善の方法を見つけてもらいたい。自分たちには大きなチャンスがあるわけで、勝とうと思ってやっている」

「いつも言っているように、ウチは彼がいてくれる方が優れたチームになれる。彼と一緒にプレーすることに問題はない。チームメートも同じ気持ちでいる。だって、僕たちは勝とうとしているのだから」

トバイアス・ハリスも「今は、彼のプライバシーを尊重して、時間を与えないといけない」と、シモンズを擁護している。「何があっても、彼を支えないといけない。上っ面だけを見て、多くの物事に関して決めつけ的な考えを持つのは簡単なこと。僕たちアスリートは人間を超えたような存在と思われがちだけど、感情を持っていないわけじゃない」

「彼だって人間なんだ。彼が何かを抱えて、苦しんでいるのなら、球団もチームも、そしてファンも支えてあげないといけない。彼がチームのユニフォームを着てプレーすれば、チームの勝利のためになる。そして、みんな彼を称えるんだ。でも最近は、『なんてことをしてくれたんだ?』というリアクションが多い。そういう風潮がなくなれば、切り替えるのも簡単になる。彼へのサポートを放棄してはいけない。今こそしっかり支えてあげるんだ」

シクサーズは、今後2試合を敵地で行う。その間も、球団はシモンズの体調をうかがいながら話し合いを続ける可能性が高い。ハリスは「チームにとって、彼にとっても、コミュニケーションを取る上で必要なことだった」と続けた。「彼を呼び戻すため、今のチームに適応させる上で正しい方法だった」