正中岳城

文=丸山素行 構成=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

33失点の圧勝も「点差はあまり見ていない」

Bリーグ王者のアルバルク東京は昨日がシーズン初陣。アーリーカップ関東大会でサンロッカーズ渋谷と対戦し、33-78という信じられないスコアで勝利を収めた。リーグ開幕は4週間後で、どのチームもまだ準備段階。そんな中でA東京の隙のないディフェンスは際立った。SR渋谷のフィールドゴール成功率を23%に抑え、すべてのクォーターで失点は1桁。フィジカルで圧倒し、相手に好きなポジションを取らせず、それを徹底的に遂行することで心を折った。

見事な完勝をキャプテンの正中岳城は「今日を迎えるにあたって7月の末からやってきたことを出せた」と話すが、大喜びするわけではない。「昨シーズンも『一つ勝てばいい』とやっているわけじゃないので、同じようなプロセスで今日の試合を眺め、明日の試合に挑まないといけない。やれることはやれたし、やれなかったことももちろんあります。やれたことに対しては自信を持ってやり続けるだけですが、やれなかったこともチームミーティングではたくさん出てくると思います」

「次のラウンドに進みたいと思ってやりましたけど、点差に関してはあまり見ていない」と正中は言う。「うまく行った部分もありましたけど、自分たちでコントロールできない部分も、ラッキーが重なった部分もあったし、そういう印象です」

正中岳城

連覇を目指すシーズン「またイチから積み重ねている」

前年王者として、シーズン最初の試合で最高の試合ができた。それでも連覇を目指すシーズンを正中は「すごくチャレンジングなシーズン」と表現する。「タイトルを取って追われる存在になるし、『上がったらあとは下がるしかない』という表現もされると思います。連覇が懸かったシーズンは過去にもありましたけど難しさはあるし、それで連覇は果たせませんでした」

難しいからこそ、この段階からチームとして積み上げることの大切さを正中は説く。「昨シーズンから何かを持ってこれるわけじゃないです。連覇にこだわる部分はありますけど、やるべきことをやり続けるしかないし、またイチから積み重ねている途中です。結局はまた7月末から、コーチが同じことを耳が痛くなるほど口酸っぱく言っているんですが、そこがやっぱり自分たちの拠りどころになります。このプロセスを止めずに開幕を迎えられるようにと思っています」

新しいシーズンの到来を楽しむ気分はあるが、「いろんな感情を持ちながらやっています」と正中は言う。「そういう要素はどのチームだって全部含まれることで、シーズンには良い時もあれば悪い時もあります。具体的にまだ開幕戦は見えていない。自分たちのプロセスがまだまだあるし、また意味のある1カ月を過ごさなきゃいけない。今日もそのうちの一つのステップです」

「まだまだやることは多いですね」と彼は笑った。今日16時から栃木ブレックスと当たる決勝戦でも、正中は高みを目指してステップを一つ登るのだろう。