3者の思惑が一致、ブルズには指名権2つとデリック・ジョーンズJr.
トレイルブレイザーズ、ブルズ、キャバリアーズの3チーム間トレードが成立した。ラリー・ナンスJr.がブレイザーズに、ラウリ・マルカネンはサイン&トレードでキャバリアーズに、デリック・ジョーンズJr.はブルズへと移籍する。またブルズは来年の1巡目指名権、2023年の2巡目指名権を手に入れた。
エースのデイミアン・リラードを満足させるだけの戦力を整える必要のあったブレイザーズにとっては最善の結果となった。NBAキャリア6年、28歳のラリー・ナンスJr.は複数のポジションをこなし、特にディフェンス面で計算できるオールラウンダー。スモールラインナップの4番、また3番ポジションで相手のエースを抑える役割が期待できる。優勝争いをする上で決定的な戦力とは言えないが、プレーオフを見据えてチームを着実にレベルアップさせる戦力であり、『3&D』としてジョーンズJr.よりもリラードというエースを引き立たせるのには向いている。勝てないキャブズで注目されない数年を過ごしてきたが、ナンスJr.の総合力の高さはブレイザーズでより発揮されるに違いない。
ブルズは「新たな環境で再スタートしたい」と公言するマルカネンを手放さざるを得ない状況にあり、不振のシーズンを過ごした後に大型契約を結んだ彼を引き受けるクラブを見付けるのはそう簡単ではなかった。キャブズとの直接取引でナンスJr.を獲得することもできたはずで、今シーズンの戦力だけを考えればそちらがより良い選択肢だったはずだが、今オフに手放した3つの指名権のいくつかを取り戻すことを優先した。ジョーンズJr.を復活させることができれば、このトレードは大成功となる。
少々評価が難しいのはキャバリアーズで、若いチームのリーダーシップを取ることができるナンスJr.を手放したことに異論は出るだろう。28歳のナンスJr.から24歳のマルカネンへと主力の一人が若返ったが、ジャレット・アレンとは契約延長を結び、ドラフト1巡目3位でエバン・モブリーを指名したばかり。戦力が足りているポジションに4年6700万ドル(約73億円)の契約を結んだマルカネンを入れることは、今後の負担になりかねない。
それでも、アレンにモブリー、コリン・セクストンとダリウス・ガーランド、アイザック・オコロと主力がすべて23歳以下のキャブズは『すぐに勝つ』ことを目標にするチームではない。あと1シーズンか2シーズンをチームの成長にあて、その流れにマルカネンも乗せる。勝負のタイミングはまだ先だと考えれば、そのタイムテーブルに噛み合わないナンスJr.を手放すことも理解できる。問題はケビン・ラブの存在で、そのチーム方針には完全に噛み合わない。難易度の高いトレードをまとめることができなければ、バイアウトの方向に進むことになりそうだ。