アルバルク東京のアシスタントGMに就任した伊藤大司(後編)「チームが結果を残さないと自分の評価にもならない」

アルバルク東京のアシスタントGMに就任した伊藤大司(後編)「チームが結果を残さないと自分の評価にもならない」

2021/08/30 18:00
伊藤大司

トヨタ自動車時代からアルバルク東京で、ここ3シーズンは滋賀レイクスターズでポイントガードとして活躍した伊藤大司は、昨シーズン限りでの現役引退を決意した。それは以前からGMの仕事に興味を持っていたところに、古巣のA東京からアシスタントGMとして誘われたのがきっかけだった。34歳でセカンドキャリアに踏み出した伊藤に、『GM』という職種の実態について聞いた。

「チームが弱くなったらGMの責任になります」

──あらためて、GMという仕事について教えていただけますか。どんなことをしているのでしょうか?

もちろん、チームによって仕事内容は異なってくると思うんですけど、一番分かりやすく言うと『強いチームを作る』ことです。どんな選手を集めたら勝てるか、その選手をコントロールしたり指導したりするにはどのコーチが最適かを考えたり、もちろん優勝するためにという前提はあります。それに加え、どういうチームであれば見ているお客さんたちが楽しめるか、応援したいと思ってくれるかを考え、バスケのスタイルやチーム作りをしていくこともGMの役割だと思っています。

あとはフロントオフィスとトップチームの間に入って、それぞれに大事な部分を伝えるコミュニケーションを取るのも大事な仕事だと思っています。

──強くて人気のあるチームを作るというのが理想ということですね。GMという言葉の響きはカッコイイですし、やりがいがあるように思えますが、難しいところはどんなところでしょうか?

変な話、オフシーズンに解雇の話も出てくるわけじゃないですか。今まで貢献してくれた選手に対し、チームに合わなかったり、新しく若い選手を連れてきたい状況でアルバルクでは必要としてませんと伝えることだったり。そういうのはプロの世界なので厳しい部分はあると思います。

もちろん、伝えることも厳しいですが、その判断が間違っていて、そのせいでチームが弱くなったらGMの責任になります。また、ヘッドコーチを誰にするかや、スタイルをどうするかというのもGMの判断なので、的確に判断しないといけません。

逆に言うと、自分が判断して連れてきた選手やコーチがうまくハマって、チームは勝てるし、ファンも面白いと思ってくれたら最高ですよね。難しいところもありますが、それがやりがいとして一番気持ちいいことだし、評価される部分だと思っています。

──ではGMはどんなに良い人間性を持っていたとしても、評価対象は結果のみということなのでしょうか?

そこもまた難しいところで、評価のされ方はそれぞれだと思います。でもアルバルクはずっと名門で強いチームであってきたカルチャーがあるので、そこで結果を残せないとダメな見られ方をするとは思います。

ただ、11年間選手としてやってきた僕としては、勝つことも大事ですし優勝することも大事だけど、見ているファンがどれだけ面白いと思ってくれるか、応援してくれるかがより大事になってくると思います。もちろん、両方達成するのがベストです。それが7:3なのか6:4なのか、勝利とファンの感覚。そこはチームによって基準も違うと思います。

──強いだけじゃダメなんですね。

優勝しても会場にお客さんが全然来てくれなかったり、応援してくれるファンが少ないのは寂しいことです。すごく熱狂的に応援されても常に最下位にいたって、それはそれでダメじゃないですか。優勝が10、満席が10だとして、それをどう10:10に持って行けるかが評価になると思うので。

──ちなみに現在はアシスタントGMという肩書ですが、どんなことをやっているのですか?

今は現場でGMの動きを見て学んでいるのがメインです。その中で英語が話せるとか、現役で14年間やってきたとか、ケビン・デュラントとやってきた経験があるとか、そういった自分の強みを出して、どうコミュニケーションを取るかにフォーカスして行動しています。

大学のスプリングトーナメントにも初めて行きました。スポンサーさんのご挨拶もありますけど、リクルートが一番大きい仕事になってくると思うので、練習を見学させていただいたり、試合を見に行ったりしています。GMに興味が出始めてから、「あの選手おもしろいと思いますよ」と提案したり、そういう目で見るようになりました。今のポジションになって、この選手は年俸を含めこういう評価をされているなどリアルな話を聞けるようになり(笑)、現実味があって楽しみに変わってきました。

──なるほど、冒頭も思いましたが充実しているようですね。では最後にファンへのメッセージをお願いしたいのですが、個人というより、チームを応援してほしい感じでしょうか?

チームが結果を残さないと自分の評価にもならないのでチームを応援してほしいです。チームが勝つために応援をするというより、一緒にアルバルクを盛り上げてほしいですね。熱いファンがいて、会場に行っても楽しいし、おもしろいと思える、そんな世界で通用するようなクラブを作っていきたいので、よろしくお願いします!

──ありがとうございました。ちなみに元チームメートのKD(ケビン・デュラント)はアルバルクで獲れませんか?

GMという立場的には来てほしいですけど、友達としてはそのままNBAで頑張ってほしいです。会えなかったですが、ずっとメッセでやりとりはしていました。落ち着いたらブルックリンに来てよと言われたので、勉強という名目でコロナが落ち着いたら行ってこようと思います(笑)。

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