移籍先の有力候補はニックス、さらにホークスも浮上
ロンゾ・ボールはこの夏に新しい色のユニフォームを着ることになりそうだ。ペリカンズは優先権を持っているものの、2000万ドルを超える年俸を払うだけの価値がロンゾにあるとは思っていない。一方でポイントガードを必要とするチームにとって、ロンゾは間違いなく魅力的な戦力だ。今オフのフリーエージェントは小粒と言われているが、彼はその注目株の一人。『The Athletic』によれば、彼のエージェントは4年1億ドル(110億円)の契約を希望しているそうだ。これは少しばかり相場より高いだろうが、2000万から2200万の4年契約のオファーは出てくる、というのが大方の見方だ。
今のNBAではポイントガードがチームのエースを務めるのがトレンドとなっている。ステフィン・カリーにデイミアン・リラード、ラッセル・ウェストブルックにジャ・モラント。その『最新作』はロンゾの4歳年下の弟、ラメロ・ボールだ。しかし、ロンゾはタイプが異なる。彼は良いプレーをするのにオフェンスのファーストオプションである必要がなく、あらゆるパスを駆使してゲームをコントロールし、チームメートの持ち味を引き出す司令塔だ。1試合で30得点、40得点を挙げる派手なパフォーマンスがなく、トレンドと逆行しているが故にシュートの成功率の低さを持ち出されてしばしば批判されるが、そこは彼の持ち味ではない。
チームが持つタレント力を引き出す意味ではロンゾは現時点ですでにNBAでもトップレベルに達しつつあるし、さらにまだ23歳で今後の伸びしろもある。レイカーズとペリカンズで様々な経験を積み、そこにはネガティブなものも少なくなかったが、そこから吸収して自身のプラスに変えるしたたかさが彼にはある。
2017年のNBAドラフトで全体2位指名を受けて入団したレイカーズでは、2シーズンでトレードに出されることになったが、これは彼が『失格』と見なされたわけではない。アンソニー・デイビスがそれほどまでして欲しい戦力だった、ということに尽きる。今もレイカーズのファン、そしてフロントにはロンゾを評価する声が根強く、それが今もレイカーズ移籍の噂になっている。
もっとも、デイビスを取るために手放したボールを復帰させるにはサラリーキャップが足枷となる。年俸2000万ドルを超えるロンゾを新たに抱えることはまず無理だ。サラリーキャップに余裕があり、ロンゾのような司令塔としてのポイントガードを求めるチームが彼と契約することになるだろう。
今オフ、サラリーキャップに最も余裕のあるのはニックスで、デリック・ローズとロンゾの併用は良いアクセントになるし、ロンゾはニックスの将来を担う若手たちを、オンコートでもオフコートでも良い形で導いてくれそうだ。また、ホークスの噂も浮上している。今シーズンに大きな飛躍を遂げたホークスだが、シーズン前半はラジョン・ロンドがフィットせず苦しんだ。トレイ・ヤングと同時に起用しても成り立つし、交互に起用すればオフェンスにメリハリを付けられるだけでなく、ヤングのディフェンスの課題を選手起用で隠すこともできる。カンファレンスファイナルまで進んだ今シーズンの勢いを継続させ、さらに上のレベルを目指す意味では最適な補強となりそうだ。
レブロン・ジェームズとザイオン・ウイリアムソン。スター選手とプレーする経験はキャリア4年でも十分すぎるほど持っている。シュート成功率はレイカーズ時代より改善され、ルーキー当時の精神的なムラ、好不調の波もなくなっている。そして、レイカーズがロンゾを手放す決断をする上で、決して小さくなかった要素である父親、ラバー・ボールの影響下からも今の彼は抜け出している。個人で大量得点は挙げられなくても、ハイライトプレーは多い。卓越したビジョンからフルコートを通す強烈なパスは、ロンゾとラメロの専売特許となりつつある。来シーズン、そのパフォーマンスはどのチームで見られるのだろうか。