リック・カーライル

2007年までヘッドコーチを務めたチームに、14年ぶりに復帰

リック・カーライルは2008年から務めていたマーベリックスのヘッドコーチを辞任した。この時には長くこの仕事を続けて情熱を失ったとか、健康問題が理由だと見られていたが、それは間違いだったようだ。ペイサーズからオファーを受けると、すぐさま今シーズンのチームの戦いぶりを精査し、それぞれの選手に対してのレポートを作成。選手と連絡を取り合って来シーズンの構想を練り始めた。61歳になったが、その情熱は失われてはいない。

マブスを率いる前、2007年までヘッドコーチを務めたペイサーズに14年ぶりに復帰した彼は、「みんなと話して、一緒に仕事をしたら楽しいだろうと感じた。プレーオフに戻り、勝てるチームを作りたい。これは私にとって、とても特別なチャンスだと感じている」と抱負を語った。

球団社長を務めるケビン・プリチャードは、採用までの経緯をこう語る。「勝つために、コーチに何を求めるべきかを精査していた。ヘッドコーチとしての経験が長く、優勝経験があることが望ましいと考えたが、そんな人材は多くはない。そう考えている中でリックがフリーになった。あらゆる方向で人材を探していたが、すぐに取りやめて彼に連絡を取った。契約をまとめるまで1週間とかからなかった」

ペイサーズは昨年オフにネイト・マクミランを解任し、ネイト・ビョーグレンを後任のヘッドコーチに据えた。ニック・ナースの右腕としてラプターズのNBA優勝に貢献したビョーグレンは卓越した戦術家と期待されたが、彼は選手たちの信頼を得ることができなかった。シーズン途中にチームは空中分解し、プレーオフ進出は5年連続で途切れた。ペイサーズにとっては皮肉なことに、「勝てないヘッドコーチ」として解任したマクミランは今、ホークスをカンファレンスファイナルまで導く立役者になっている。

昨年のヘッドコーチ人事が失敗だったのは明らかで、挽回しなければならないプリチャードが経験豊富な人材を求めたのは理解できる。その意味でも、このタイミングでカーライルが空いたのは思いがけない幸運だった。

「オフェンスで良いシュートを作り出し、良いディフェンスをすることに喜びを感じるようなチームにするのが最初の目標だ」とカーライルは言う。「ドマンタス・サボニスとマイルズ・ターナーのプレーは、他のチームメートとより連携できるように修正できる。2人にはそのことを伝えたが、受け入れてくれた。マイルズは優れたリムプロテクターで、ディフェンスを向上させる上で大きな役割を果たす。ドマス(サボニス)は多彩なプレーでチームを助けられる」

ペイサーズにとってこの1年は『停滞のシーズン』となってしまったが、再始動の準備は整った。経験と情熱を兼ね備えたカーライルが刺激を与えることで、ペイサーズは再び動き出す。