富樫勇樹

ファウルトラブルを乗り越え悲願達成

Bリーグファイナル第3戦は最終クォーター残り2分で1点差という激戦となったが、残り38秒にセバスチャン・サイズがタップシュートを押し込んで、2ポゼッション差のリードを得た千葉が押し切り、71-62で勝利した。

キャプテンの富樫勇樹は「3年前と2年前に横浜アリーナでファイナルで敗れてから、この瞬間のためにチームで頑張ってきたので、ようやく優勝できで、本当にうれしい思いでいっぱいです」と喜びを爆発させた。富樫が言うように、千葉は2年連続でファイナルまで勝ち進んだが、2度ともアルバルク東京の壁を超えられず、準優勝に甘んじてきた。3度目の正直とあって、その喜びはひとしおだ。

勝因については「具体的に出せるものはない」としながらも「一つひとつのリバウンドに行く気持ちや、1対1で守る気持ちが最後の1点2点に繋がったのかなとしか思えない。今までやってきたことを最後の5分間に出せて良かった」と分析した。

また、富樫は「自分ではなくチームの勝利のためにできることを考えていて、それができたと思う」と話し、個人に走らず、チームファーストの姿勢を貫いたと自身のプレーを振り返った。

富樫勇樹

bjリーグ時代を含めると『4度目』の正直

富樫は約18分の出場で7得点4アシスト1スティールを記録。決して目を引くようなスタッツではないが、ターンオーバーをゼロに抑えて最後まで試合をコントロールした。プレータイムが伸びなかったのは、第1クォーターの開始5分半で2つのファウルを犯し、第3クォーター中盤に3つ目のファウルがコールされるなど、ファウルトラブルに陥ったからだ。それでも、千葉はこのピンチをチャンスに変えた。バックアップの西村文男がベテランらしいプレーで繋ぎ、コー・フリッピンや田口成浩が粘りのディフェンスを見せて、この苦境を乗り切った。

だからこそ富樫は「チーム全員を誇りに思います」と語り、チーム全員での勝利を強調するとともに、「優勝できたことがすべてだと思う。この1年間の努力が報われて良かった」と笑顔を見せた。

準優勝は立派な成績であり、他クラブから見ればうらやましがられる結果だと言える。だが、最後の試合に敗れてシーズンを終えるという意味では、どのチームよりも悔しい思いをしてきたはずだ。富樫は言う。

「bjリーグ時代の有明のファイナルで敗れ、Bリーグになって横浜アリーナで2年間敗れて、ファイナルに挑むのは4度目なんですけど、敗れた3回を見ても何かが自分に足りないと思っていました。これまでのファイナルに比べて数字的に良かったとは思わないけど、違うところでチームの助けになることができたと思う。ようやく優勝できて、すごくホッとしている気持ちです」